#1-15 ドレッドノート
《boxbgcolor:#d7dcd7》
満身創痍の【ロキ・ファミリア】の団員アイズ・ヴァレンシュタインとベート・ローガ。いや、彼はそれほどケガは負っていない。その彼に背負われている駆け出しの冒険者ポラン・ブーニディッカの流血による有様が印象的だっただけだ。
会話も無く、ただただ大急ぎで上層を走破し、ギルド本部に出た彼らは現場に居る多くの冒険者、ギルド職員を驚愕させた。中には悲鳴を上げる者さえ――
まず、ポランは意識不明の重体。
【剣姫】は両手の指が欠損。顔は回復薬によって傷は目立たないが、それ以外の傷が実は多かった。といっても切り傷程度だが。
灰色の髪の狼人は上半身を血まみれにしていたが、ポランの流血であって傷は多少の切り傷程度しか負っていない。
「……これは一体……」
「こいつを治療してくれ。それと……色々とあったんだが……。えーと、なんだ、こういう場合はどうすりゃいいんだ?」
普段の討伐とは毛色が違う。
上層階で半殺しに遭ったなど、普通に考えれば恥ずかしくて言えない事だ。だが、相手は紛うことなき強敵だった。でなければアイズがズタボロになる筈が無い。
あまりの事に思考を放棄したくなる。ベートは何気なく天井を見上げる。
本拠に帰った後はどう説明すればいいのか、それを考えるとさすがの彼も逃走を選びたくなった。
†
ポランが採取した土砂の内、二つをギルドに。もう一つは懇意にしている【ディアンケヒト・ファミリア】に調査を依頼。
それと散らばった指や耳などはすぐにでも再生させるべきなのだが、アイズは何を思ったのか『保存液』に入れるように指示する。これは別のギルド職員に依頼した。
それとすぐ後に駆け付けてきた【ロキ・ファミリア】の団員達は変わり果てたアイズに驚愕したり、悲鳴を上げた。
ほぼ連行される形で本拠に向かうのだが、ベート同様アイズも邪悪な建物として入りたくない気持ちを強めた。
気のせいか、背景に稲光が起こったような――
無言の帰宅を果たしたアイズは包帯を――簡単にだが――巻かれた状態で幹部達の居る部屋に通された。
案の定、彼女の姿を見たフィンは険しい顔に。
リヴェリアは今にも殴り掛かってきそうな雰囲気を醸し出すが、踏み止まった。
ベートは軽く身体を洗って着替えが終わってから連れてこられる予定になっている。
この場に神ロキの姿は無い。まずはフィン達の要件を済ませてから、と判断したようだ。
「……僕の立場として……」
まず代表として小人族フィン・ディムナが口火を切る。
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