小学五年生 15
今日はなんとなく束の家に遊びに来たんだけど……結構雰囲気が重い。
というのも、何でか知らないけど箒ちゃんが『私怒ってます!!』って感じでほっぺを膨らませてアピールしてて、束が話しかけてもずっとそっぽ向いて無視してるから、段々と束が涙目になっててさっきから何も話せてないんだよね。
どうしようかと考えてると、横の束に肘で突かれて何とかしろと言うアイコンタクトが飛んで来た。
不器用な束だと全然上手く不機嫌の理由を聞けなかったんだろうなぁ、と思いながらアイコンタクトがバレない様に箒ちゃんにそっと耳打ちをする。
「ねぇ箒ちゃん? 俺だけに内緒で怒ってる理由を教えてくれないかな?」
「……あのね? ねーさんがあそんでくれないの」
「あの束が? 世の中で一番箒ちゃんが好きって言ってるくらいなのに?」
「でも!! ねーさんはきのうもあそんでくれなかったもん!!」
ヒソヒソ話だからか、箒ちゃんの不満を知る事が出来たんだけど……これって束の所為なのかなぁ?
言われてみれば最近は色々忙しいらしくて学校や道場くらいでしか会わないんだけど、家でも帰るのが遅くなってるって事を言ってた様な気がする。
箒ちゃんが拗ねまくってる理由も多分その忙しくて遊んでくれないって部分なんだろう、ただコレを束に伝えたくても『ないしょだよ!? ないしょだよ!?』って言って教えてくれた反面、中々伝え辛い。
……俺に対してはニュータイプ能力発動してるのになんで箒ちゃんには発動出来ないんだろう?
「だから私をそんな変なカテゴリーに入れるなっての」
「やっぱニュータイプじゃんか、その調子で箒ちゃんの事も理解してみろって」
「君の表情とか雰囲気で考えてる事を察してるだけで、意思疎通が出来てる訳じゃないからね!?」
「えっ? てことは束は俺の事をめちゃくちゃ理解してるって事?」
やだ照れる。とか思った瞬間束からめちゃくちゃ鋭い視線で睨まれて黙らされた。完全に『お前が構いに来るから覚えただけ』って感じの意味が込められてるよねこれ?
箒ちゃんと同じような態度でふいっと顔を逸らす束、そしてそんな束を見て俺と遊んでると感じたのか、さっきまで会話してくれてた箒ちゃんがまた膨れっ面になってしまった。
しかもむっすーとした顔で涙目になりつつ、俺のお腹をぽかぽかと叩きながら上目遣いで抗議して来たから、箒ちゃんを除け者にして遊んでると思われたらしい。
「ご、ごめん箒ちゃん!! 除け者になんてしてないから!!」
「にーさん、嫌い!!」
「何箒ちゃんを泣かせてんだよ馬鹿!! ほーら箒ちゃん? おねーちゃんの胸に飛び込んでおいで〜?」
「ねーさんも、嫌い!!」
「何で!?」
「ほ、ほら箒ちゃん!! 束も一緒に遊んでくれるから!? ね? おままごとでも鬼ごっこでもなんでもするからさ!!」
「そ、そうそう!! 今日は研究所の人達からの連絡はないし、特に私がやんなきゃダメな事は片付けて来てるから一日中遊べるよ?」
「……ほんと?」
「ほんとほんと!! なっ束?」
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