小学一年生 12
「そーいやよー、お前ってしのののが好きなのかー?」
ある日の放課後、一緒に遊んでた男友達の一人が何気無くそんな事を聞いて来た。
「んー? そりゃ好きに決まってんだろー? 友達だし」
「いや、そうゆー意味の好きじゃなくてさー」
好きに違うも違わないも無いんじゃね? だって例え好きって感情に色々種類があったとしても、結局は好きって感情に落ち着くわけだし。
「ほら、てれびでもおとことおんなのゆーじょーって存在しないってゆーじゃん? だからお前がしののの好きなんじゃねーのかなーって、前にらぶれたー書いてたし」
「なん……だと?」
男と女じゃ友情が成立しない、だって?
そんな馬鹿な!! 俺は親しみを込めて篠ノ之を『参謀』ってあだ名付けて呼んでるだろ? ……勝手にだけど。
この間だって一緒に帰っただろ? ……織斑に誘われたから渋々って感じだったけど。
毎日顔合わせたら挨拶するだろ? ……返事貰った事ねーけど。
あれ? 俺ってもしかしてそんなに篠ノ之と仲良くなかったのか?
「––––てなわけでさんぼー様や、今日はほーかごお前ん家に遊びに行って良いか?」
こう言う時、分からない事は頭の良い奴に聞くのが一番なので早速次の日の朝に登校してきた篠ノ之へ聞いてみた。
「だから、結論だけで話す癖を止めろってば……」
溜息混じりの篠ノ之は何時もの台詞を言いながら椅子に座り、俺の方を見ながら発言の説明を待ってくれているらしいので取り敢えず俺も椅子に座る。
……あれ? そーいや今まで目を見て話聞いてくれた事あったっけ?
ふとそんな事を考えそうになったけど、話が脱線しそうなのでそのまま昨日の放課後のやり取りを説明したんだけど、割と話の序盤から篠ノ之からの視線が呆れを含んだ物になっていた、何故だ?
「はぁ、君はそんな話して恥ずかしく無いのかな……」
「ん? 俺は別にはずかしー事言ってるつもりないんだけどなぁ、さんぼーだって織斑に良く好きって言ってるだろ?」
「いや、うん、私も言ってるけどさ……」
なんだろ? 珍しく篠ノ之の歯切れが悪いな、何時もならスラスラと説明してくれるのに。
そんな事を考えたけど篠ノ之にだって分からない事があるだろうし、多分コイツも分からないんだろうと納得した俺は、そのまま本題に入った。
「そーいや結局お前ん家に行っていーの? ダメなの?」
「まだ君の質問の途中だろ!? どーやって噛み砕いて教えようかコッチは考えてる途中なのに聞いて来た本人が質問投げっぱなしにするなよ!?」
「えっ? でもほら、さんぼーの歯切れが悪かったし分からないのかなーって思ってさ」
俺がそう言うと、篠ノ之は頭を抑えながら溜息を吐きながら諦めた様な声で『もうそれで良いよ……』と言ってぐったりと机の上に突っ伏した。
「おーけー、じゃあほーかごお前ん家直行な?」
「はぁ!? なんでそんな話になってんのさ!?」
「だって今それで良いって言ったじゃん、遊びに行って良いって事でしょ?」
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