ハーメルン
天災二人と馬鹿一人
小学一年生 4




 手ぶらで登校作戦は空振りに終わった、先生の説教と言う苦行を耐え忍んだにも関わらず奴も手ぶら登校をしてる事は予想外だった。

 先生からも『篠ノ之はあんな奴だから、お前も無理してちょっかい出さなくても良いぞ』と言われたが、俺は馬鹿だからそんな忠告なんて無視だ無視、好きで構ってるんだからほっとけ。


 とりあえず三限目の体育の時間で次の作戦を考える、今回はサッカーなので動きの少ないキーパーにしてもらったからゆっくりと考える時間があるぞ。

 ……と、思ってた時期がありました。

 いやさ、普段体育をサボってる篠ノ之が何故か珍しく体操服着てたなぁと教室に居た時から疑問に思ってたんだよ。

 偶には身体動かしたいんだなとか考えてたら、漫画みたいな鋭いシュートを俺にぶっ放しやがった、それが目的だったのか……。


 おかしいな、サッカーってゴールにシュートするスポーツだったよな? 決してキーパーをKOするスポーツじゃなかったよな?

 腹に強烈なボールが直撃した俺は蹲りながら篠ノ之を見る、お前頭だけじゃなく身体能力もやべーのか。


「し、篠ノ之? サッカーってさ、ゴールにシュートするんだぞ? 俺を倒すゲームじゃねーからな?」

「そんな事知ってるに決まってるだろ、単にお前が私のシュートを止められなかっただけじゃん、自分の無能を他人の所為にしてんじゃねーよ」


 転々とするボールを踏みながら俺を見下す篠ノ之、ゴールラインを越えずにキーパーに当てたから得点になってないし、それはつまり俺をボコボコにできるってわけだ。

 容易に想像ができる未来に涙目になりつつも、所詮女のシュートだと自分自身に言い聞かせると、俺は自信満々に立ち上がって篠ノ之を指差した。


「お前のシュートなんざ屁でもねぇ!! ぜーんぶ止めてやる!!」


 尚、足がガクガクしてるのは秘密だ。

 コレはアレだよ、シュートを受けた勢いで膝が崩れた訳じゃなくて、そんな一発をぶっ放した篠ノ之に対して震えてるだけだから、ダメージは無い。


「ふーん、じゃあ試してみようか」

「ドンと来やがれ!! お前のシュート如きで俺をけーおー出来ると思うなよ?」


 カッコ付けて啖呵を切ったんだけど、何故か次の瞬間には昼休みだった。

 おかしい、何が起きたんだ?

 一瞬篠ノ之の足がブレたと思ったらそっから記憶が無い、何かが顔面にぶっ飛んで来たのは覚えてるんだけど……まさかサッカーボールで意識飛んだのか?

 おのれ、許さんぞ篠ノ之!! 俺も今まで以上に本気であんにゃろうと友達になっちゃるからな、精々貴様は無駄な抵抗を諦めて俺と友達になるが良い!!

 …………割と真面目にお願いします。


 昼休みだからお弁当の時間だけど、今日は作戦の為に鞄ごとウチに置いて来たから飯の時間を作戦立案に費やせる。


 先ず奴は頭も身体能力も俺より上なのに、あの心の壁全開の状態なんだから付け入る隙がなぁ……。

 保健室のベッドに寝転びながら篠ノ之に対する作戦を考えたんだけど、やはり仲良くなろうぜアタックしか思い浮かばない、俺は馬鹿だから仕方ないな。

[9]前書き [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/2

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析