ハーメルン
生きたければ飯を食え
メニュー13 石釜でパンを焼こう(カルネ村)

メニュー13 石釜でパンを焼こう(カルネ村)

自分自身に人化を施し。コックスーツではなく、男性使用人から借りてきたYシャツとスーツに袖を通す。色の好みがデミウルゴスのスーツとは合わないので男性使用人のスーツの新品を運ばせた、リアルで着慣れているので違和感はないが、クックマンの身長とはまるで違う視界には少しばかりの違和感を感じる。

「ったく……守護者にまでお披露目しなくて良いっつうの」

ワックスで髪をオールバックにしながら舌打ちする。モモンガさん曰くカワサキさんが人化していても判るように、俺だけじゃなくて守護者にも見せましょうと楽しそうに笑っていた。あの野郎絶対昨日の仕返しで俺を晒し者にするつもりだな……

(まぁ良いか……)

面倒ではある。だがモモンガさんの素が出ているのは決して悪い事ではない、ならば少し我慢すればいいだけだ。大して気にするまでもない、その後は久しぶりにナザリックの外……カルネ村にだが行く事が出来るのでそれくらいは我慢するべきだ。

「んじゃな、クレマンティーヌ。ちっと行って来るわ」

「え、あ、えええ!?か、カワサキ?」

「あん?ほかに誰が居るよ」

俺を見て目を白黒させているクレマンティーヌに誰が居る?と逆に尋ね返し。大人しく待ってろと言って部屋を出る……残されたクレマンティーヌは

「やっば……なにあれ……超タイプなんですけど……」

自分の知っているカワサキとは、似ても似つかない人間の姿を取ったカワサキに林檎のように顔を真っ赤にしているのだった……

「か、カワサキ様ですか?」

「だからほかに誰が居るってんだ。人化の実験をするって言ってただろ」

玉座の間の前で待機していたナーベラルとユリが信じられないという表情で目を丸くする。さっきもすれ違った一般メイドが目を大きく目開いていたが、9階層にいるのは俺とモモンガさんとNPCとクレマンティーヌだけだ。必然的に俺だろうが……

「あん?どっかおかしいか?コックスーツばっかだったからな」

黒のスーツに白のYシャツ、そしてネクタイではなくスカーフを巻いているが……どっかおかしいか?と尋ねながら自分の身体を確認する。見たところおかしいところは無いが……それか髪か?どこか固め損ねて、跳ねてるか?と尋ねる。

「「い、いえ……その、大変……り、凛々しいお姿だと……」」

赤面しながら声を揃えるユリとナーベラルに苦笑する。

「あーそっちか。大して興味もねえが……ありがとよ」

リアルでも何度も外見を褒められたが、料理人なので外見よりも料理を褒めて欲しい物だ。そもそも俺が貧民層に落ちる切っ掛けの1つでもあるので、正直人間の姿を褒められても微妙なのだが、それで怒るほど器量が狭いつもりはないのでありがとよと返事を返す。

「開けてくれるか?」

自分で開けてもいいのだが、こうして控えている以上2人に頼むべきだろうと思いそう尋ねる。

「「至高の御方カワサキ様のご入室です」」

ナーベラルとユリの声を聞きながら、俺は王座の間に足を踏み入れるのだった……

「ユリ姉さん……シホが見たら大変でしたね」

「そうね……シモベとして相応しくないと思いますが、カワサキ様の人化の御姿は美しかったわ」

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