メニュー14 異世界の魚のムニエル、しゃぶしゃぶ
メニュー14 異世界の魚のムニエル、しゃぶしゃぶ
モモンガさんが来てからの展開は恐ろしいほどに早かった。ザイトルクワエは身体が残る程度に焼却処分され、幻術でその死体は隠された。漆黒聖典を誘き寄せる餌として活用するという基本方針は変わっていないからだ、その後は守護者を伴ってリザードマンの集落に向かったのだが……精霊様、精霊様と凄い騒ぎになっていた……集落からもあの炎は見えていたようだ。守護者達は下等な種族の分際でとかおっかない事を口にしていたが、俺とモモンガさんを崇拝しているから排除とはならなかったので一安心だ。モモンガさんはそのまま族長達との話し合いに臨み、俺はと言うと……その話し合いで食べる料理の下拵えを行っていた。正直リザードマンの集落が壊滅したのは俺の責任なので、誠心誠意全力を込めて料理をさせてもらおう。バフも勿論全て掛けるつもりだ。
「うむ……上質な白身だな。脂もタップリ乗っている」
俺が釣り上げた魚とリザードマンが献上すると言って持ち込んできた魚を、リザードマンの集落の小屋で捌いていた……守護者達はモモンガさん付きでアルベド、俺の護衛としてシャルティアが残り、他は全員一度撤収となった。ザイトルクワエが暴れていた事もあり、漆黒聖典とやらの監視及び漆黒聖典討伐の為の作戦立案、そしてナザリックの警護と言う事情だ。クレマンティーヌは漆黒聖典の顔を知っているという理由で、同じくナザリックへと戻っている。
「カワサキ様。下等な種族の主食を何故そこまで観察するでありんす?」
布巾で包丁を拭う。少し切っただけでここまで脂が付着するとはな……
「下等な種族と言うが、この魚はいい物だぞ?モモンガさんに自信を持って出せるレベルだ」
雪溶け水が流れ込む湖と森林からの栄養。この湖の質は恐ろしいほどに上質だ……1口大に切った白身魚をシャルティアに差し出す。
「味見してみろ。食べてみれば判る」
「はぁ……判ったでありんす」
首を傾げながら切り身を頬張るシャルティアを見ながら、俺も切り身を頬張る。コリコリとした歯を跳ね返す弾力と強い脂……
(鯛に近いが……後味はどっちかと言うと鱸……いやカサゴか?)
富裕層に居た経験がある俺は養殖だが、生の魚を口にした経験がある。思い当たる魚を思い返すが、どれも該当しない。異世界特有の魚と言う感じか……しいて似ているとすれば鱸だが、鱸よりも身に脂があり、歯応えが強い気がする。
「確かに美味しいでありんす」
「良い物は良い。悪い物は悪い、それにナザリックの配下になる部族だ。そこまで見下してやるなよ?勿論これはモモンガさんも同じ意見だ」
この湖を手に出来た。これは今後の活動方針として十分に役立つ、シャルティアはカワサキ様とアインズ様が仰るならと呟くが、目に見えて不満そうだ。
「そう言えば、食材適正のあるものを確保したらしいな。良く頑張ったじゃないか」
ここで使うつもりはないので、パンドラに預けたが、シャルティア、アウラ、マーレ、コキュートスがザイトルクワエの食材適正のある部位を確保したと聞いている。良く頑張ったじゃないかと褒めると、頬を赤らめ嬉しそうに笑う。
「カワサキ様から道具を下賜され、成果を上げられないようではみっともないでありんすから」
こうやって笑っていると普通の少女って感じなんだけどな……ペロロンチーノの変態設定がなければ、普通に良い子なんだが……せめてもう少し凶暴性が低ければ言う事ないんだが、それも個性として受け入れるべきなんだろうな。
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