メニュー15 鰻の蒲焼
メニュー15 鰻の蒲焼
巨大な瓶の中に蠢いている鰻……リザードマン風に言えばヌルを避けて、氷の包丁を突き入れる。一瞬瓶の中が白く濁ったのを確認してから、包丁を抜き上げる。なんかザリュースっていうのが驚いた表情をしているが、この包丁が珍しいのだろうか?とりあえず、これはもう使わないのでアイテムボックスの中に戻す
「良し、完璧だな」
氷の包丁の冷気で鰻が仮死状態になっている。瓶の中に手を入れて1匹引きずり出す
(太いし、でかいな)
俺の知っている鰻よりも遥かにでかい……この大きさならば確かに骨も太いし、硬いだろうなと苦笑し、包丁を鰻の首筋に当て中骨の所まで一気に包丁を入れる。かなり力を入れて包丁を入れたのだが、その包丁すらも跳ね返す骨の硬さにこれは想像以上だなと苦笑する
「シャルティア、釘」
「どうぞでありんす」
後手にシャルティアが釘を載せてくれたのを確認し、鰻の目の下顎の辺りに釘を刺す。本当なら目打ちなのだが、あいにく手持ちが無かったので熱湯消毒した釘で代用する。そして最初に入れた切り込みの背骨側から包丁の切っ先を入れて、皮を貫通させないように細心の注意を払う……必要は無いか、このでかさなら相当力を入れないと皮を突き抜けることは無い。刃先を滑らせるようにして、尻尾の方まで包丁を動かし身を開き、内蔵を毟り取り水で洗い流すと脂がたっぷり乗った食いでがありそうな、白身が姿を見せる……だが俺の目は身よりも、その身に隠れている骨に向けられていた
(骨は……目視できるな)
水で鰻の血を洗い流しながら鰻の骨を確認する。その大きさと太さはかなりの物だ。確かにこれは並みの調理法じゃあ食用には適さないな……仮にこのまま使うとしたらミキサーやすり鉢でミンチにしてツクネや、かまぼこのような練り物に加工するのが最適かもしれない。包丁の切っ先を生かし、中骨を削ぎ取り、指先で骨の位置を確認しながら丁寧に残った骨を取り除き、念の為に鱧の要領で軽く身全体に骨切りを施してから金串を刺した物を2本用意する、身自体がかなり巨大なので1匹を2人で分けて丁度良いと判断したからだ
「やっぱり炭だよな」
これは炭焼きに限る。即席の焼き台の下に炭を突っ込み、炎の呪文で火を起こす。そして炎を安定させるために団扇で数分扇ぎ火を安定させ焼く準備を整える
「シャルティア、タレの瓶を俺の隣に持ってきてくれ。その後は米を研いだ鍋を火に掛けて、俺の合図で引き上げてくれるか?」
元気よく返事を返すシャルティア。残虐性が出てなければ本当に素直な良い子だよと思いながら、蒲焼を焼くために準備した焼き台の前に立つ。
(火の具合は良し)
アイテムボックスから出した炭を使っているので火力は申し分なし。タレは酒、みりん、ザラメ、醤油を煮詰めた物を瓶で準備した、良い鰻ならこれから何度も何度も焼いて、タレにも旨味を行き渡らせたいという考えからだ。なんならリザードマン達に作り方と捌き方を教えて、リザードマンの村の特産品にしても良いと考えている
「良し!行くかッ!」
クックマンの腕力を持ってしてもなおずっしりと重い鰻。俺は気合を入れて金串を持ち上げるのだった……
カワサキさんが最後は俺達の前で料理をすると言って目の前で鰻とか言う、一見蛇にしか見えない魚を手早く捌き、それを今俺達の目の前で焼いている……
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