ハーメルン
なにも知らない転生者がカードキャプターさくらの世界で活躍させる物語(仮)
幕間 バレンタインチョコ

 『(シャドウ)』を封印した翌日。
 朝早くに桃矢さんから電話があって、昼休みに聖條高校に隣接してる金網のとこへ来てくれと言われたから行ってるんだが、行く途中に物凄い速さで小狼と木之本が通り過ぎ、それを追うように大道寺がやって来た。

「祐介くんも聖條高校に?」

「……ユウスケくん?」

 唐突の名前呼びに戸惑う。
 前までは桐生くんだったのに、これはいったいどういうことか?

「以前、さくらちゃんや私が危ないときに下の名前で御呼びになられましたよね?」

「ああ、その節はすまないと思っていた」

「いえ、新しい友達が出来た感じがして凄く嬉しかったですわ。 ですので、これから私の事は知世とお呼びください。 代わりに私も祐介くんのことを下の名前で呼びます」

「あ、ああ、えっと、はい。 わかった、大ど……」

「知世です」

「知、世……さん」

「さんは要らないんですけど……」

 呼捨て……だと? なかなかの難問だ。
 自慢ではないが、オレの周りに女性は三原と次期当主(クソ女)、母さんくらいしか居なかった。
 母さんからは女性の名を呼捨てにするには、それなりの覚悟が必要だと言われてる。
 前世もあまり覚えてはいないが、母親である母さんにですら、照れて顔が見れない程だったから友人の女性または彼女といった人は居なかったと思われる。
 そんなオレが呼捨て……いや、確かに前は咄嗟に下の名前をしかも呼捨てで言ったが……。

「努力する」

「ふふっわかりました。 では、今はさん付けを許します。 あとこれ、友達チョコです」

 クスクスと笑いながら、大ど、、、知世さんはカバンからカラフルな包装用紙でラッピングされた箱を取り出して、オレに渡した。

 チョコ……まさかこのオレが三原と善鬼以外から貰えるとは思わなかった。
 次期当主とは、古いしきたりもあってかそう言う関係ではあるもののバレンタインという俗事には関わらないし、母さんは母さんで脂肪の元となるチョコにいい感情を持ってないのか、それとも学生時代に嫌な思い出があるのか、チョコが如何に甘く歯触り、舌触り、喉に残る不愉快感、匂いではなく臭いを嗅いだだけで胸焼けするような物体Xかを説明された事があった。
 それはそう幼稚園での最上級園児になった二月、保育士さんから初めてチョコを貰った日だったかな。
 喜んで持って帰った日の夜の修行は、今でも超ハードというかアドバンスド、エリート? エース、エキスパー……エクストリーム? いや、マニアック、マスター……否、アルティメット……なんか違うな、、、インポッシブル……アールタイパー、アナザー、インフェルノ、鬼? ルナティック……

「あのどうかしましたか? かなり震えてるようですが、もしかしてチョコ嫌いでした?」

「イヤ、ソンナコトナイヨ」

「片言なんですが……」

 イカン、否、いかんな。
 どうも昔のことを思い出すと精神的によろしくないことばかりだ。
 頭を振って昔の思い出を封印してメンタルリフレッシュ。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/2

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析