オレの波動球は参拾漆式まである。
「五度目にしてやっとか…」
昼食を終えた達也は、午後の実技の授業をしながら光國に言われた事を考えていた。
達也自身も、一科生と二科生の間にある溝は大きな問題と捉えており、一部は仕方ないとはいえ昨日の一件がまたあるかもしれない。そうなれば深雪に迷惑をかけてしまい、悲しませてしまう。
「達也さん、三度目から集中が乱れてましたよ?」
「やっぱ、昼の呼び出しが頭に」
「達也くんは、あんたみたいに単純じゃないんだからそんなわけ無いでしょ」
実技の内容は至極単純に、魔法を発動して求められた数値を出すことだ。
三度目で成功しかけたのだが、光國の言っていた事が気になっており五度目にして成功した達也。
その事を指摘されると気付かれたかと思うと同時にちょうど良いと聞いてみようと思った。
「レオ、エリカ、美月…2000年以降の学校にはどんな価値と意味があると思う?」
「2000年以降の学校ですか?」
「戻ってきた時に話しただろう、深雪が生徒会に、俺が風紀委員に推薦されたと。
渡辺委員長も、七草会長も一科生と二科生の溝をどうにかしたいと考えていて手塚も推薦されたんだが、その際にその質問をした後に出ていってな」
「手塚くんが達也くん達を試してるってこと?」
「恐らく、そうだろう」
納得のいく答えを出せば、手塚は風紀委員に入ってくれる可能性がある。
二科生である自分が風紀委員に入れば仕事は問題なくこなせるが、確実に浮いてしまうのがわかる。結果を残すのは良いが悪目立ちしてしまうと、家の人間が色々と言ってきて深雪に迷惑をかけてしまう。手塚が入ってくれれば、視線が分かれて悪目立ちする可能性が下がる。
「2000年以降、てことは旧世紀関係だろ?
オレ達も手塚も生きてないし…分かんねえな…手塚に直接聞いてみるか?」
「今、達也くん達が試されてるんだから答えを聞いてどうするのよ」
「だよなぁ…」
レオも考えてくれるが、答えらしい答えは出てこない。
直ぐ近くにいる手塚に答えを聞こうとするが、エリカに止められる。
「どうやら、悩んでいるようだな」
「手塚…」
噂をすればなんとやら、光國が話を聞いてやって来た。
「この質問に対する答えは、あるようでないも同然だ」
「どういう意味ですか?」
「人によっては答えが違うと言うことだ」
「え、それってズルくない?」
答えが複数あるならば、解答者の答えとは違うもう一つの答えを出題者が正解とすれば良い。
この後、生徒会や風紀委員に捕まり質問に解答されたとしても不正解だと言って別の答えを出せば逃げることは出来る。
光國が出題者となり、試されてると思った時点で実は負けが確定していた。
「ズルくはない。
オレの質問は理数系の問題の様に法則性やパターンに基づいた答えを求めているのではなく、言葉の問題だ。答えは複数あれども、それら全て成る程と一言納得させる答えには行き着く筈だ、具体的な言葉で納得させてもらいたいんだ…オレや達也を一科生と二科生の溝を埋めるためにどうにかするには、それぐらいの覚悟は必要だ」
「…どういう意味だ?」
「下手すれば全ての魔法科高校が日本所有の未開発の島に移される…いや、マジで闇が深いぞ、一科生と二科生の溝を学校単位のいじめともとれるのだから」
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