ハーメルン
今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】
溶岩の狭間で
幸い彼の鎧の防御率は高いため、怒り時のブレスを受けても消し炭にされずに済んでいる。
〈ガード性能+2〉ならばダメージを受けつつも踏ん張る事が出来るのだが、受け切れずに吹っ飛ばされてしまったのだ。
「大丈夫!?」
上手く【緊急回避(スライディングジャンプ)】で避けたカイは、駆け寄って【生命の粉塵】をポーチから出してかけた。
「すまんサンキュー」
ソロでも上位【グラビモス】の狩猟に出かける事があるアレクトロにとっては、火傷など慣れっこにすらなっている。
だがブレスばかりを吐いている相手を見て、「……俺、【剣士】辞めていい?」と苦笑いして言った。
【挿絵表示】
ブレス中の【グラビモス】ほど【ガンナー】の的になる奴はいないからである。
まあとにかくも、直線ブレスの時を見計らって、足元に【落とし穴】を仕掛ける。
爆弾を置くとまたカイに起爆されかねないので、今度は溜め切りをお見舞いした。
部位破壊を狙いやすいと踏んだのか、【双剣】を持って来ているカイが腹部に陣取り、赤い闘気を足元から立ち上がらせながら目にも止まらぬ速さで切り刻んでいる。
それは俗に【鬼人化乱舞】と言われている、【双剣】特有の攻撃である。
ちゃっかり調合分の罠を持って来ていた様子のカイが、罠を掛けては何度か乱舞攻撃を繰り返すうち、第二段階の破壊が終了した。
これで腹部の完全部位破壊が成功した事になる。
相手は硬い外殻が腹部だけ完全に無くなり、そこの皮膚が赤剥けになった、なんとも痛々しい姿になった。
【シビレ罠】で痺れて尻尾が下がっている時や、突進の構えを自分にではなくカイに向けている時などを狙って尻尾を縦切りしていると、こちらの切断にも成功した。
が、切れた尻尾が飛んだ先を見て、アレクトロは絶望した。
溶岩に半分浸かっていて、剥ぎ取れなくなっていたからである。
夜の【火山】は昼よりマグマの活動が活発になっており、冷えた溶岩のエリアが少ないがためにこういう事故が多いのだ。
カイは夜の火山【クエスト】に付いて来た事を、少し後悔した。
なぜなら【グラビモス】の尻尾にしか無い、貴重な素材が剝げなくなってしまったからである。
【挿絵表示】
冷えた溶岩エリアが少ないというのはつまり、【ハンター】が闘える場所も昼より限られている事を意味し、溶けた溶岩の中ですら自由自在に走り回る【グラビモス】と闘うには難易度が高いといえる。
加えて溶岩に浸かった状態ですらグラビームを多発するので、【剣士】は手出しが出来ずにイライラしながら溶岩から出てくれるのを待つしかなかった。
「……【剣士】、辞めていい?」
今度はカイが言った。
そんな事で時間を食われている内に、狩猟時間が残り少なくなっていく。
ダメ元で足元を切ると、アオッと情けない声を出して、【グラビモス】が無様に横転びした。
「お、グラころだ♪」
これを「グラころ」と呼んで気に入っているアレクトロが、「♪グラころグラころグラころ~~♪」と妙な節を付けて歌いだす。
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