十五話 きゅっとしてどっかーん
「広いなぁ」
中も外観と同じく紅い。だがまだ目には悪くない程度の紅さである。天井からシャンデリアがぶら下がっていて、壁にはこれまた綺麗なライトが付いている。
問題は思わず呟いてしまうほどの広さだ。館と言うだけあってやたらと広い。というか外からの見た目と中の広さが同じではないような…?
「幻想郷でも随一の大きさがあるのよ。見た目も、中もね」
「へー」
確かにこの大きさの建物、幻想郷には中々ないだろう。そもそもこんなに大きな建物を作る技術が幻想郷にあるのかも疑わしい。
この館も俺の家と同じように外の世界から持ってきたのだろうか。
やはりどうしても見た目と中の広さが合っていないように感じたので尋ねてみる。
「なんか外から見たより広く感じるのだが」
「咲夜の力で空間を引き伸ばしているのよ」
聞くところによると、咲夜の能力は時間を操る程度の能力。どうやら時間だけでなく空間すらも操れるらしい。流石に紫ほどではないが、このように空間拡張ができる時点で凄い能力だ。
「なんだそれ。めっちゃ使いやすそうな能力だな」
「といっても、時を止めることと早める事しか出来ないのですが…」
しか、と言うがそもそもその二つ、特に時を止めるということが中々のチートである。そんな事出来たなら戦闘ではほとんど無敵で、奇襲も不意打ちも受けることが無いだろう。
弾幕ごっこでは回避出来ない弾幕は禁止だから駄目だが、外の世界なら近くで銃を撃てば殺人は簡単だし、窃盗や不法侵入等も余裕である。そして何よりそれをされても時が止まっている俺たちはそれに気付くことができない。
もしそんな事をしようものなら、警察も対策おおわらわでその人は完全無敵の超人に成れるだろう。悪人でも、善人でも。
「ん?ここにはレミリア達以外にも居るのか?」
「あら、よくわかったわね。確かにここには私の友人も住んでいるわ」
確かに地下の方から強めの魔力が感じる。きっとこれがレミリアの友人の力なのだろう。
しかし…
「それ以外にも居るんじゃないか?」
「あら、どうゆうことかしら?」
少しレミリアからの魔力が濃くなった。僅かばかりの怒気も含まれているような気がする。
これは地雷かとも思ったが、変に言い淀むよりもズバッと訊いたほうが後のためだろう。
「ここにはレミリアの親族も居るんじゃないか?親か、もしくは兄弟姉妹とかな」
「ふーん、やっぱりわかるのね」
どこにいるのかは分からないが、確かに感じる妖力。レミリアと似ている妖力。そしてレミリアと同等の力がある妖力。
紅魔館の中であることは確実だ。レミリアの反応からしてもやはりいるのだろう。
「ねぇ、貴方の霊力の多さはなんなの?魔力も含まれているみたいだし、貴方は本当に人間なの?魔理沙や霊夢なら分かるけど、外の世界から来たのにその量はおかしいわ」
「少しばかり不思議な存在ではあるんだが、俺は正真正銘人間だ。少しだけ妙な能力を持ってるだけだ」
にしても、俺の魔力を感じ取れる奴が多い気がする。幻想郷に来て少なからず強くなったのかなぁ。
レミリアが俺のことを注視している間、俺は今も尚感じている妖力の居場所を見つけようとした。そして気付く、すぐそばだ。
「定晴様、貴方の能力って…「危ない!」…っ!」
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