ハーメルン
遥かな、夢の11Rを見るために
バカンス



 さて、私達は現在、バカンスの地、ドバイを目指して飛行機に居ます。

 パスポート関係とかどうしたんだろう? とかいろいろ気にはなったところはあるんですけれど、私は旅客機のビジネスクラスで椅子をリクライニングにし、アイマスクを着けてリラックスしながら有意義に旅行を楽しむ事がこうして出来ています。

 久々の休暇はいいですねー、いやー、今からバカンスですよ! しかもドバイで!

 ドバイといえば観光名所が盛りだくさんですよね! デザート サファリとか!ブルジュ・ハリファなんかもありますよね!

 いやーテンション上がりまくりです! 思わず鼻歌歌ってしまうくらいに私は上機嫌でした。

 可愛い水着も買って、たくさんの観光名所を回りつつ、海でゆっくりと過ごすなんてのもいいですよね。

 そんな風にるんるん気分の私でした。そう飛行機にいるまでは。

 いや、予想してなかった事は無いんですよ、もしかしたらあるんやないやろうかと、姉弟子と義理母のコンビだし、でも、旅行先ですよ? 旅行先。

 いやいや、こんなバカンス気分できた、しかもドバイなんかでそんな事は無いでしょう? 綺麗な海に綺麗な街並み、観光名所、こんなところで? 無い無い。

 と、思ってましたよ、私も。


「ドバイのダートはどうだ! 足腰にくるだろ! さぁ! もう一本だ!」
「サーイエッサー!」
「アフトクラトラスゥ! へばる暇はないぞぉ! いつまで土にキスしてるつもりだァ! 馬鹿者ォ!」
「…はぁ…はぁ…い…いぇすまむぅ…」


 私は土まみれになった顔面を上げて、死にかけの表情で義理母の言葉に答える。

 ドバイの地にて私達が何をしているかと言われれば、見ての通りです。ダートの坂を登っております。

 それはもう、地獄ですよ、時差ボケ? 関係無いから、と言わんばかりの坂路、しかも、ドバイのダート版。

 土なんか普段はあまり走らないのだが、足腰の強化を図るため、芝ではなく、ドバイのダートを使ったこの坂路特訓はもう壮絶でした。


 バカンスというより、強化合宿に近いだろう、これ意味合いが全然違うやんけ。


 ドバイの照らしつける日が眩しい、ブライアン先輩やタキオン先輩達も現地入りしたオハナさんと共に軽くドバイでトレーニングしている最中である。

 もちろん、このドバイでのトレーニングは明確な意図があってのことだ。

 ミホノブルボンの姉弟子もブライアン先輩もそうだが、来年には海外進出をし、欧州やその他の地域でレースがある。

 チームアンタレスからはバクシンオー先輩、タキオン先輩、ナカヤマフェスタ先輩、バンブーメモリー先輩らもこのドバイでのトレーニングを個別でこなしている。

 私達は見ての通りです。ドバイにて坂を登ってばかりだ。

 私は死にかけの身体に鞭を打ち、その地獄のトレーニングに再び復帰する。

 海外戦に向けての特訓ならば、必死についていかねば到底通用なんてしない。

 海外のウマ娘ならば、なおさら怪物ばかりだ。

 トレヴにハリケーンラン、ヴィジャボード、ダラカニ、ハイシャパラル、ガリレオと名だたる海外ウマ娘達が世界中で活躍している。

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