12章「衝動制御」
「あの人はどうかしたのかな。」
◆ ◆ ◆
「ターピン、リサ!」
ヒソヒソヒソ…ハリー・ポッターが…ヒソヒソ…スリザリン…ヒソヒソ…ほんとうだって…一体なにが…ヒソヒソ…
「レイヴンクロー!」
その子がレイヴンクローのテーブルにおずおずとあるいてくるのをハリーはまわりにあわせて拍手でむかえた。そのローブの縁どりが群青色にかわる。リサ・ターピンはハリー・ポッターからできるだけ遠くに座ろうとする衝動と、そのとなりの席に割りこんで根掘り葉掘り話を聞こうとする衝動とのあいだで、ゆれているように見えた。
非日常的で興味深いできごとの中心にいたあとでレイヴンクローに〈組わけ〉されるというのは、バーベキューソースにつけられたあとで飢えた子猫の穴にほうりこまれるのに酷似している。
「だれにも言わないって〈組わけ帽子〉に約束したんだ。」とハリーは何度となく小声で言った。
「ほんとだって。」
「いや、ほんとにだれにも言わないって〈組わけ帽子〉に約束したんだ。」
「わかった。〈組わけ帽子〉に約束したのはその大半をだれにも言わないことで、のこりの部分はぼくのプライヴァシーだ。きみだってそうだろう。だからもう質問しないで。」
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