ハーメルン
漆黒の英雄モモン様は王国の英雄なんです! (通称:モモです!)
1章 王都 ヤルダバオト編ー4
「マーレ、隠蔽の結界の状況は? シャルティア、来ているのはアインズ様達だけなのだね?」
「は、はい。結界、問題なく作動してます」
「周囲にはどなたも居りんせん。 来ているのはアインズ様達だけのようでありんすね」
炎の結界──アインズ様のお言葉をお借りするとするならば、ゲヘナの結界──その中心に隠蔽の魔法を掛けながら周囲を警戒する。シャルティアの対生物用の感知能力はずば抜けているので、周囲に居ないことはまず間違いないだろう。非生物──アンデッドであるならばこの結界内部は私の身体の中の様なものなので私が感知できる。つまり、こちらに向かってきているのはアインズ様とナーベラル・ガンマのみとなる。
「この小さな豚小屋では至高の御方をお迎えする場所には些か不向きではありますが、仕方ありません。このままお迎えしましょう」
この倉庫区域で最も大きい家を見繕ったつもりだったが、それでも大部屋位の広さしかない。質素どころか劣悪極まりない環境ではあるものの、何よりも時間が無い。今回ばかりは目を瞑って頂き、他の部分で挽回するしかないだろう。そう思いながら私は小さくため息をついた。
「しかし、なんで アインズ様は人間達を集めて来なかったのでしょうかぇ? 今回の作戦では、漆黒の英雄の名を広げるためといわすのがあったのではありんせんか?」
「確かに観客は必要だよ。だけどそれに関してはあの──イビルアイ、だったかな。彼女を含む蒼の薔薇の人達が上手くやってくれているようだ。そして人間達がここに集まる前に…」
「情報のすり合わせをしようと思ってな」
ベストタイミングでアインズ様が部屋に入って来られた。まるで部屋の前で待機し、入るタイミングを計っていたかのようだ。しかしアインズ様ともあろう方がそんなことをするはずもなく、本当に丁度良い──恐らく、こちらが話しているだろうことを予測して走る速度を変えられていたのだろう──タイミングであった。
「さてデミウルゴス。始めようか」
「はい、まずは直接情報をお話させて頂きたいというこちらの要望を飲んで頂き、しかもわざわざ時間を作って頂きまして。このデミウルゴス、感激の至りに御座います」
向かいの椅子に座られ、促されるアインズ様にまず始めるはアインズ様への感謝の言葉。本来ならばこのような時間のない時に至高の御方を煩わせるなど以ての外ではあるものの、まるで精密機械の様だと言って下さった私の計画、そしてアインズ様ご自身の計画に不備が無いようにせねばならず。こうやって時間を取るほかないと選択してしまったのだ。
全く不甲斐ない。アインズ様ならば私の計画など殆ど理解されているでしょうに。私ときたらアインズ様の計画のほんの半分程度しか予想することが出来なかったのだから。
「では私の計画の全貌をお話いたします」
そう言って始めたデミウルゴスの話──計画は想像すらもつかないほど壮大なものだった。
まず、六腕への攻撃のカモフラージュ。これはこちらの存在をプレイヤーを含む強者たちに悟られない様ぼかすためというのが大きい。そしてこの区域の金品の奪取。これは嬉しい。ナザリックのお金は出来るだけナザリックのために使いたかったので、個人的に動きたいときはモモンとして稼いだ金で何とかやりくりしていたのだ。貧乏に喘ぐ必要がなくなるのは大きいだろう。そして…
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