ハーメルン
漆黒の英雄モモン様は王国の英雄なんです! (通称:モモです!)
8章 法国 ケイ・セケ・コゥク編-3
『パンドラズ・アクター、お前はナーベラルと交代しろ。そして──』
『傾城傾国の奪取。それも気付かれないように偽物と交換して、ですね。了解しました、ン──アインズ様』
スレイン法国の中心にある神殿。その最奥にあるであろう、この神殿の重役たちが居るであろう場所へと俺たちは向かっていた。
俺が指示を出すが早いか、パンドラズ・アクターは早々にナーベラルと交代したようだ。俺のすぐ後ろを歩いているはずのパンドラズ・アクター扮するナーベの雰囲気がナーベラルのモノと変わっている。俺ですら注意しないと気付けない程の差異であるため他者に気付かれることは無いだろう。現に俺のすぐ前を歩いている絶死絶命が気付いている様子もない。
パンドラズ・アクターを一番に信頼しているのは、単に俺が作ったからだけではない。ありとあらゆる方面において極限にまで特化していたかつての俺の仲間──ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』のメンバー全員の能力を、全てコピーしているからである。それも単なるコピーとは違う。パンドラズ・アクターは通常、戦闘能力に振るであろう部分すら一切妥協せずレベル100分全てをドッペルゲンガーとしての種族の能力に振り分けている。そのため80%と制限されてはいるものの、コピーした者の能力を扱う事が出来る。
通常本体としての戦闘能力を一切取らず、完全にコピーした相手の能力に依存してしまうこの方法は非常にリスクが高い。しかし俺のパンドラズ・アクターは違う。全員だ。俺を含めた、あらゆる方面に特化した能力を全員分コピーしているのだ。俺と、俺が最も信頼する仲間たちの能力を。弱い筈がない。弱い訳が無い。
(信頼できない筈がない。そうだろう、パンドラズ・アクター)
既に内部に居たこともあるだろうが、瞬く間に宝物殿を見付け交換を終えたとの報告が飛んでくる。暫くしてまた、後ろのナーベの雰囲気がパンドラズ・アクターのものに戻っていた。3分と掛からぬ早業であった。
宝物殿を守っていたのは大した強さの無い者たちだったらしい。しかし特殊な能力を持っていたらしくその死体は既にナザリックへと転送済み。代わりに上位二重の影<グレーター・ドッペルゲンガー>の配置を行ったようだ。
『パーフェクトだ、パンドラズ・アクター』
『お褒め頂き、光栄の極みです。我が神よ』
全く凄まじい程の無警戒さである。逆に罠ではないのかとも思ったが、確認したところ本物だったらしい。追跡等の魔法も掛けられておらず、プレイヤーの気配もなし。全力で警戒していた俺たちが馬鹿だと思ってしまうほどに。
(法国のプレイヤーは一体何を考えている?それとも既に居ない?寿命か?人間種等で、しかも俺たちよりも先にこの世界に転移していたと想定するならばあり得る話だけれど)
アインズ・ウール・ゴウンが伯爵となったこと、俺が英雄と呼ばれていることもあり様々な情報が耳に入るようになっている。その中で最も気になったのが『過去の話』についてだ。この世界の過去。六大神や八欲王。英雄に賢人。それらは現状では考えられない程の高い戦力を持って居ると思われた。であれば、そいつらがプレイヤーだったのではないかと思ったのだ。
確かに俺たちはこの世界に転移してきた。どれだけの規模の転移が行われたかは全くの不明だが、ナザリックのみ転移されたなどとということは『ありえない』。しかし俺の知る範囲にプレイヤーの影が無い。つまり『近い位置』に転移されたわけではないということ。つまり、それは同時に『近い時代』に転移されたわけでもないかもしれないということだ。
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