第三話「あなたの瞳に映る色は何色ですか?」
最終決戦の幕は開けた。————主に園子の脳内で、と補足しておく。
それはそれは熾烈を極めた戦いであったそうだ。もはや彼女の目的が行方不明な状態だったが、結果的に自分にとって都合の良い(ネタとして)展開になってくれた。
「————卑怯よ、あんた。『幻』シリーズを隠し持っていたなんて……あむっ」
「これも日本男児の嗜み……というのは冗談で、三好の為に用意していたんだ。『高級にぼし』も」
「わ、私のため!? へ、へぇ~中々気が利くじゃない。あ、ありがと……もらった私が言うのもなんだけど、あんたも食べる?」
「どれ、一つ……あむっ」
三好とカミキ。席に着いた二人は互いに同じにぼしを食らう。
噛めば噛むほど旨味が滲み出てきて素直にうまい。
「なんだか美味しそうね。ちょち夏凜私にもちょーだいよ」
「しゃーないわね。はい」
「あっ、ならわたしもください! なんだか見ていたら食べたくなっちゃって」
「樹もだいぶ煮干しに染まってきたわね……ほら園子、友奈も東郷も食べるでしょ?」
「ありがと夏凜ちゃん! ……ん~これ美味しいねっ!」
「確かに。良いお出汁もとれそうだわ」
「んま~♪」
どうやら一同お気に召したようだ。
「――――って、そうじゃなーーい!! 今日はカミキくんを勇者部へ勧誘しようって話でしょー。なんでこんなにも話がそれてしまうの!?」
「勇者部? そういえば外の札にも書いてあったな」
風の言葉に皆ハッと思い出す。昨日はバタついてそれどころではなかった状況だったが、改めて今日にしようってことで彼をここに招いたのだ。
その中でも一番強く進言してきたのは、『彼女』をよく知る東郷と園子だ。
「ねぇミノさん。勇者部に入部する気はないかな?」
「勇者部の『勇者』ってお役目の?」
「どう、かな銀?」
いつのまにか二人がカミキの両サイドを固めていた。
少し離れた所にいた風が、
「お、流石に『お役目』のことは知っているのね」
「……一応。でも僕なんかがこの部に所属しても大丈夫なのか? 見たところ部員は全員女性みたいだし。『お役目』に支障がでないだろうか」
「ミノさんなら大丈夫だよ~?」
「はいはい!! 私もさんせー! 夏凜ちゃんも樹ちゃんもいいよね?」
「みんなが良いなら私もいいわよ。なんかアンタとはうまくやれそうだわ……なんとなくだけど」
「み、みなさんがそういうなら……カミキさんよろしくお願いします!」
「んじゃ決まりね。カミキくんこれに必要事項を記入してちょうだい」
「東郷も僕が居ても大丈夫なのか?」
「えぇ、歓迎するわ」
こうまで言われちゃ断ることはない、とカミキは風から用紙とペンをもらってスラスラと書き始める。
二、三分とかからずに記入し終えると風に手渡した。
「……ん? 片仮名で『カミキ ギン』でいいの?」
「うん。ダメだったか?」
「いやいや! ちょっと気になっただけだからさ~ごめんね」
「こちらこそ。みんな、これからよろしくお願いします」
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/4
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク