ハーメルン
バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ
第16話「Sからの依頼/俺達は2人で1人の探偵でカードバトラー!」

※ほとんど特別回みたいなものです。本編では椎名が主役として活躍します。







「……と、言うわけで、私の夏休みの宿題を手伝ってください」
「はぁ?」


蒸し暑い夏の終盤に、椎名はとある私立探偵事務所を訪れていた。その名も【天楼探偵事務所(てんろうたんていじむしょ)】。界放市で根をはるこの探偵事務所は、そこそこ有名な場所であった。この探偵事務所には2人の探偵がいる。その1人が今、椎名と話している青年【左近時 切札(さこんじ きりふだ)】。

切札は困っていた。なぜならこの少女、芽座椎名の依頼がなんとも意味不明な内容だからだ。


「だから言ったじゃないですか!……私この宿題終わらないと【界放リーグ】に出られないんですよ!お願いします!」


椎名は学園に来るまでは宿題などやったことがなかった。じっちゃんこと芽座六月の管理する児童施設にいたからだ。

【界放リーグ】が楽しみすぎてそのことをすっかり忘れていた。成績に難がある生徒は出場できないと言う情報を聞いて、これはヤバイと考えた椎名は、なんとかするためにこの探偵事務所に訪れたのだ。


「いやいや、お嬢さん、宿題ってぇのは自分でやるもんだぜ?……そしてこの探偵事務所は極めてハードボイルドな……」
「興味深い!……あの界放市一のイベント、【界放リーグ】に出場するほどのバトラーのデッキを見ることができる良いチャンスだよ!切札!これは引き受けるべきだ!」


その横で切札の言葉を遮るように、興奮しながら喋る少年は、この探偵事務所のもう1人の探偵【シモン】。端正な顔立ちに、緑色の髪色が特徴的だ。性格としては、とにかく知識欲が旺盛。


「あぁ?おいおいシモン!なんでそんな理由で妙ちくりんな依頼受けないといけねぇんだよ!今日はあいつも出かけていないのに、なんでこの事務所はうるさい女がしょっちゅうまとわりつくんだ!?」
「今言っただろう?あのTV中継もされる【界放リーグ】に出るかもしれないスピリットカードをこの目で見れるチャンスなんだ!」
「俺とお前も学生じゃねぇだろうが!!そんなの見てどうなるんだよ!」
「引き受けてくれるんですか!!」
「引き受けねぇよ!」


なかなか引き受けてくれない切札に、椎名は差し入れを差し出す。それは有名なドーナツ屋のチェーン店。ドーナツの穴場の美味しいドーナツだ。


「あっ!これ!先入れです!どうぞ!」
「そんなもんくれたって、依頼なんか受けねぇぞ」
「………いや、待てよ、これは…………そうか!そう言うことだったのか!検索を再開しよう!」
「?」


ドーナツを見て、何かひらめいたのか、そう言うと、シモンは事務所の別部屋に向かい、引きこもる。約10分後くらいに1冊の本を手に持ち、出て来る。不思議そうな顔を見せる椎名。だが、切札は少しだけ笑いながら「何かわかったのか?」と呟く。


「あぁ!あの事件の犯人がようやくわかった!場所を伝える、そこへ行きたまえよ切札」


その後はその場所だけを伝えられて、切札はお気に入りのソフト帽を被り、外へ飛び出した。シモンは椎名の宿題を手伝う。手伝ったらデッキを見せてくれるのを条件に。


「おぉ!これが宿題!簡単な問題ばかりだねぇ」

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