第2話「激突!赤きアーマー体!」
「うわぁぁぁぁあ!!!やばい!やばいよぉ〜!……遅刻だぁぁぁぁあ!!」
椎名は朝っぱらから全力で叫びながら学校までの通り道を走っていた。学生なら誰もが恐れる遅刻と言うものと戦っているのだ。足がはち切れそうになるくらいの速度でアスファルトの上を走る椎名。学校からは徒歩約20分だったが、椎名の俊足をもってすれば5分程で到着できる。
「よし!校内についた!後は………」
校内まではついても今度はその校舎に入り、中を走らないといけない。階段が靴箱と遠いせいで遅刻するのは必至の状況だった。おまけに1年生の教室は4階にあるため、尚のこと辛いものがある。だがここで、椎名はある方法を思いつく。それは彼女にとっては本当にグッドアイデアと言える作戦。
「あっ!そうだ!」
椎名は校庭で何故かその場で手元にあった上履きに履き替えた。
******
そしてここは4階の椎名のクラス教室、担任の教師が番号順で出席を取っていた。
「真夏、」
「はーい」
「椎名………椎名?」
真夏の次の椎名の名前を呼ぶ男性教師、だが、椎名の返事はない。そして男性教師が名簿から目を背き、椎名の机に振り向こうとした次の瞬間、
「はいはーい!!」
椎名はなんと教室の窓をガラリと開けて入ってきた。この教室は4階だと言うのに、そして、ベランダもない。下はもう校庭だけの造りなのだ。椎名は壁からよじ登ってエスカレートした方が早いと考えて校庭からよじ登ってみせたのだ。クラスの者たちは真夏を含めて全員が唖然。担任の教師も口を大きく開けて呆気にとらわれていた。椎名はそんなことは一切気にせずに取り敢えず一安心したような顔つきで何事もなかったかのように自分の席に座る。窓側の一番後ろだ。その横には真夏がいる。
「いやぁ、危なかった、危うく遅刻するとこだったよ〜あ!真夏、おはよう!」
「おはよう……って……あんたどうやってここまで来たん?!」
「え!?…いや、普通によじ登って………」
そう言いかけた途端、椎名の目の前には担任の教師がいた。その顔はまさしく金剛力士像にも匹敵するほどの強面だった。それを見た椎名は蛇に睨まれたカエルのように思わず背筋が凍りついた、そして恐怖を表しているかのように自身のアホ毛がアンテナのように真っ直ぐ硬直する。
「………し〜い〜〜なぁ〜〜!!!お前はまた何やってんだぁぁぁぁあ!!」
「いや、でもほら、ちゃんと授業には間に合いましたよ、………だから晴太先生……今日は穏便に………」
「ばっかもぉぉぉおんん!!間に合い方ってもんがあるだろうがぁぁぁぁあ!!…今日一日中廊下に立ってなさぁぁぁぁあい!!」
「ええぇぇえ!!?」
【空野晴太(そらのはれた】、今年で23歳。椎名と真夏のクラス担任。プロに行ける実力がありながらも教師になった、若き天才。教師としては新任なので、今は問題児の塊の椎名に苦労させられている毎日。生徒達のことを下の名前で呼んだりと、なかなか面倒見のいい性格だ。ただし、怒るとこの通り、とてつもなく怖い顔になって叱ってくる。椎名は入学してからもう3回もこの顔を見ていた。と言うか、させていた。
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