第3話「渾身の一手!ライドラモン轟く!」
「へぇー、そんなことあったんや」
「へぇーじゃないよ本当に、その後は一日中ずぅっと感想文書かされたんだから」
「いやぁ、1日はまだマシやと思うねんけど」
椎名が司とバトルした翌日の昼休み、丁度弁当を食べ終わってから、晴太にこっ酷く叱られ、挙げ句の果てには一日中感想文を書かされた椎名は、その事を真夏に愚痴るように話していたのだ。
椎名もあれだけのことをしたのだ、真夏の言う通り、確かに1日中感想文を書かせるのはまだ甘いほうだと思われる。
「でもやっぱすごいでぇ、椎名は」
「ん?何が?」
「だってあの【朱雀】に臆さずバトルしたんやろ!?すごいでぇ、ほんま大もんやわ〜〜」
「いやいや、ただバトルしただけでそんなに言われてもなぁ、」
それと同時に、椎名が【朱雀】こと赤羽司とバトルしたことは、知らずのうちに学校中で噂になっていた。強敵に挑んでいく椎名をべた褒めする真夏。バトル自体の結果は晴太が横入れしたため消化試合となってしまったが、
椎名としてはただバトルに夢中になっていただけだ。そんなことで褒められてもあまりピンとは来ないだろう。それは椎名が【朱雀】と言う男を詳しく知らないのも理由の1つであろう。
「そう言えば司ってなんで【朱雀】って呼ばれてるの?」
椎名はそもそも司が【朱雀】という異名を持っていたことを知らなかった。真夏はあまり世間を知らない椎名にこれを説明していく。
「はぁ!?あんたそんな事も知らんかったんかいな、【朱雀】って言ったら赤バトラーの名家、【赤羽一族】の30年に一度の天才って言われてる奴やないか、あいつの軸となっているスピリットとその華麗なプレイングから【朱雀】って言われるようになったんよ、私らと同期の中でもトップクラスの有名人やで!?」
「はは、いや私あんまり世間とか世論とか知らなくってさ〜」
同期の中でも逸脱した才能の持ち主である【朱雀】を知らなかった椎名に対して真夏は少なからず驚いている。いくら椎名が遠い島出身とは言え、【朱雀】を知らないのはあまりにも変だと、それほどまでに【朱雀】は有名人なのだ。
【朱雀】こと、司はジュニア時代では数々のバトスピ大会で賞を勝ち取っている。他を寄せ付けないその強さは当時から多くのメディアにも注目されていた。ただそれ故に椎名が【朱雀】を知らないのは本当におかしい以外何者でもなかったのだ。
「でも、もうちょっとで勝てるとこだったんだよなぁ」
「それほんまに言っとんの!?」
椎名は知らないが、あのバトルは本当ならまだあのバトルの決着はついていなかった。もう少しで椎名が勝てるとこではあったが、司はまだ凌げる防御札を手札に持っていた。
それでも【朱雀】と呼ばれる司をあそこまで追い詰めれるのはこの同期とそれ以下の世帯の中ではほとんどいないだろう。
2人が机を囲んでそんな談笑をしている時だった。誰かが閉まっている教室のドアを開ける。そこに現れたのはクラスメイトでも先生でもない。別のクラスの男子生徒だ。160cmもいかない位の椎名とほぼ同じくらいの小柄な体格に加え、栗色の短めの髪、成長期が来るのを予想してるのか、少し大きめの制服を着ていた。新品の制服やバッジの色から椎名達と同じ1年生であることが示唆される。
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