第七話 チノのイタズラ
翌朝――。
今日は祝日とはいえ、ラビットハウスの営業日。
俺とチノとココアは早く起きて店の支度を始めるのだが――。
店の厨房にはリゼしかいなかった。
「あれ、ココアとチノは?」
「チノならさっきココアを起こしに行ったぞ!」
寝坊とは、確かにココアらしいが、チノは毎日こんな生活しているのか……。
「おはようございます。悠さん、早速ですけどココアさんを起こしに行ってください」
「え?でもさっき起こしに行ってくれたんじゃ……」
「声かけてもなかなか起きなくて。私じゃどうも手に負えません」
「やれやれ、起こすのも大変だな」
「お姉ちゃんを名乗るくらいならもうちょっとしっかりしてほしいです」
チノが言ったこと台詞をそのままココアに言ってみるとどうなるのだろう。
――そんな度胸はないけど。
「おーい、ココア。チノがうんざりしてたぞ。起きろ」
そう言ってドアを開けると――。
「ん?――えっ」
「うわっ!」
今のドアの閉めるスピードはおそらくギネス更新ものだろう。
この状況だと、普通は寝ているココアを想定しているだろう。だが、ココアはすでに起きており、着替え中だったのだ。
「ちょ!なんで起きて――!」
勢いよく閉めたドアに向かって叫ぶ。
「悠くん!?」
「寝てたんじゃないのかよ!」
「さっきチノちゃんが起こしに来てくれたよ!?」
「まさか――くそ!チノにはめられた!」
「な、なあチノ――なんか上の階が騒がしくないか?」
「昨日、私のことをロリなどと言ったお返しです!」
そのとき、厨房でこんな会話が行われていたことをココアや悠が知ることはおそらくないだろう――。
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「お兄ちゃん、ココアちゃんの着替え覗いたの?」
ものすごく直球な質問が心に刺さる。
「あ、ああ。覗いたことに間違いはないが、あれは事故だ。覗きたくて覗いたわけじゃない」
「お兄ちゃん最低……」
「おいチノ!いくらなんでもひどいぞこれは!」
「何のことでしょう……」
「あーもう!リゼ、お前はわかってくれるよな……」
「軍法会議に掛けられるようなことをしたお前が悪い」
集中砲火を喰らい、無事、撃沈しました……。
「ちょっとやり過ぎたでしょうか」
「ああ……明らかに一線を越えていたぞ」
――と、向こうからチノとリゼの会話が聞こえるが、それをかき消すようにココアが
「き、気にしてないから!」
と気を遣ってくれるが、チノのいたずらは今後警戒しなければいけないな。
――意外にココアのスタイルよくてちょっと驚きだった。
「しまった。小麦粉を買いに行くのを忘れてた。今手が離せないから、悠とココア行ってくれるか」
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