ハーメルン
SIX HUNDRED~俺の600族が最強過ぎなんだが~
第2話 サイボーグバンギラス、ギラギラ
シロガネ山。選ばれし猛者達だけが入ることが出来る。俺もその猛者の一人だ。ポケモンリーグに出禁になっているとは言え、このくらいの融通は効くようになっている。……な訳あるか! ポケモンリーグが危険だから近づくなと警告しているのに、出禁になっている俺が入れる訳ねえだろうが。
しかしシロガネ山にいる原点にして頂点のポケモントレーナー、レッドさんに会えないのかと言うと答えはノーだ。レッドはリザードンを使ってシロガネ山から降りてくることがわかった。その周期は何らかの事情があるんだろう。
それはともかく、俺はこいつを出す。
『何か用か? マスター』
無表情で答える3m超のバンギラスが生物とは思えないほど無機質な目で俺を見つめるこいつの名前はギラギラ。性格はサイボーグ。何故サイボーグかって? ギラギラはイリアとは違ってポケモンバトルに興味はなく、ポケモンバトルを淡々とこなすからだ。ポケモンバトルが嫌いと言うわけではなく、むしろ得意な分野で俺のポケモンの中でもエースだ。
図鑑のバンギラスの項目に書かれている内容である【片腕を動かしただけで山を崩し 地響きを起こす、とてつもないパワーを秘める】ってあるだろ?
地響きを起こすことは普通のバンギラスでも出来るが、片腕を動かしただけで山を崩すなんてことは雨で地面が柔くなっていない限り普通のバンギラスでもごく一部だけだ。ところがギラギラは“れいとうパンチ”でシロガネ山ではない別の山を崩してしまった。しかも一部ではなく山の半分以上がお亡くなりになってしまう悲惨な事故だったよ。
「ギラギラ、空を飛ぶリザードンを見かけたら撃ち落とせ。ただし俺が命令したと悟らせないようにしろ」
そう、ギラギラを出したのはレッドさんのリザードンを攻撃し、偶然当たってしまったという事故を装い近づく為だ。そんなことをしているからポケモンリーグ出禁にさせられたと思うかもしれないが、リーグ出禁のはこれが主な理由じゃない。
『了承した。だがにじマメを要求する』
ギラギラの要求も分かる。だからこそ俺はにじマメを取り出しそれをギラギラに渡した。
「一つとは言わず三個持ってけ」
『感謝する』
にじマメ三個をギラギラに渡すと、ギラギラは無表情で一つ食べ、咀嚼しながらその場を離れ、“はかいこうせん”そのものといっても疑われないような威力の“かえんほうしゃ”を吐き出した。
『完了だ』
「えっ? マジで?」
あんな遠くから見えるのかよ? しかも的確に命中出来るのか?
『あそこだ』
ギラギラが指差した先を双眼鏡で見てみると確かにリザードンがフラフラと落ちていく様子が見られた。
「よし行くぞ、ギラギラ」
『承知』
そしてにじマメをもう一つ頬張り食べながらギラギラが動いていく。一歩歩く度に地響きが起きるのはギラギラがギラギラである所以だろう。そんなことを考えながら墜落先へと向かう。そこには戦闘不能になったリザードンとボロボロになったレッドさんがいた。
「大丈夫ですか!?」
ギラギラに指示しておいてそれはないだろうと内心思いつつ、レッドさんに声をかける。
「……」
レッドさんは無言で頷き、返答する。……しかしレッドさんが余りにも無口でコミュニケーションが身振り手振りでしか出来ないって噂は本当だったのか。
「俺のギラギラ、バンギラスの“かえんほうしゃ”がそこにいる貴方のリザードンに直撃し、撃墜させてしまい申し訳ございません」
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