ハーメルン
ハリー・ポッターと野望の少女
第2話 ファーストコンタクト

入学は昔から魔法使い名門に限ると思うよ」

 酷い選民思想だ、とハリーは思った。
 それからこの少女はどう思っているのだろうと考えてたところ、どうやら彼女は違う考えの持ち主らしく、面白くなさそうに鼻を鳴らす。
 そして口の端を歪めて己の持論を語り出した。

「それは違うな。マグル生まれだろうが何だろうが優秀な者はどんどん入れるべきだ。それこそ輝かしい発展に繋がる。
真に不要なのは実力もないくせに血筋だけで成り上がる無能の害悪共だよ。
純血だろうが名門だろうが関係ない。無能の豚共こそ処分してしまえ」

 こっちも選民思想だった!?
 少女の愛らしい口から飛び出した暴言にハリーは眩暈を覚え、額を押さえる。
 方向性こそ少年とは真逆だがこちらも間違いなく危険な選民思想の持ち主だ。
 いや、むしろ「処分」などという単語が飛び出す時点で少年よりも過激かもしれない。

「なっ!? それじゃあ何だい、君は純血の名門を追い出せと言うのか!」
「違うな。有能ならばマグル、純血問わずチャンスが与えられるべきであり、無能ならば名門だろうがマグルだろうが失せろ、と言っているのだ。
血筋など関係ない。真に優秀な者だけが栄光を手にし、劣等種は排除される。これこそ正しく美しい有り方だとは思わんか?」

 どちらも酷い思考だ。とてもハリーのついていける考え方ではない。
 方向性の異なる二つの選民思想。それを聞きながらハリーは、魔法使いってこんなのばかりなのか? と不安に思っていた。
 そのハリーを他所に少年は興奮したように声を荒げる。

「そ、そんな考え方は絶対におかしい! 間違ってる!」
「違うな。私が間違っているのではなく貴様の思想が古いのだ」
「……っ、話にならない! 失礼するよ!」

 ハリーからすればどっちもどっちだが、少年にしてみればこの金色の少女は得体の知れない危険な相手に思えたようだ。
 彼は元々青い顔を更に青くしながら踵を返し、足早に店から出て行ってしまう。
 その後姿をつまらなそうに見送り、それから少女はカウンターへと足を運んだ。
 だが途中で振り返り、何が面白いのか含み笑いをしながらハリーへと言う。

「どうしたハリー・ポッター。私の背がそんなに気になるか?」

 どうやら凝視していたのが気付かれたらしい。
 ハリーは顔を赤くして視線を逸らし、そこでふと、まだ名乗ってもいないのにこの少女が自分の名を呼んだ事に気が付いた。
 まあ、この横丁に来てからはそんなの別段珍しくも無い。
 何せ会う人会う人全てがハリーの事を知っており、まるで英雄に接するかのように近寄ってくるのだ。
 しかしこの少女の眼にある剣呑な輝きは明らかにそれまで出会った人々とは異なっていた。

「あ、いや、その……」
「フ、噂の英雄様はなかなかシャイと見える。そんなのではこの先辛いだろうに」

 服を買い揃えたらしく、少女はローブや制服を袋に詰めていく。
 丈合わせなどをしていないようだが、どうやら前もって店に予約を入れていたらしい。
 彼女はハリーの隣を横切り、別れ際に一言、告げる。

「それではなポッター。ホグワーツでまた会おう」



 それがハリー・ポッターと黄金の少女……ミラベル・ベレスフォードとのファーストコンタクトであった。

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