ハーメルン
ハリー・ポッターと野望の少女
第5話 平穏の裏に潜む牙


(クルーシオやインペリオなどの魔法は禁止されていて使えない。
だが、要は禁止されていなければいいわけだ。
他者を従える手段は何も催眠だけではない。恐怖で縛るという手もある)

 左手で本を捲くりながら右手は物凄いハイペースでノートを書く。
 視線は常に動き、小声でブツブツと何かを呟きながら脳内を整理する。

(ふむ……こうすれば理論上、インセンディオの火力が1割ほど上がるな。
難易度もその分上がるが、私ならば問題ない)

 ここまで研究を進め、彼女は一度本を閉じた。
 そして読み終えた本を纏めて図書室へと足を運ぶ。
 勿論返却するだけで終わる彼女ではない。また新しく、まだ読んでいない本を手に取り図書室を出て行った。
 実の所興味は完全に閲覧禁止の棚に移っているのだが、今はまだ時期尚早だ。忍び込んでも見付かるのがオチである。
 忍び込むならそれこそ周囲の目が離れている時……例えば、トロールが入り込んできた時などが理想だ。

(ハロウィンまで待つとするか……それまでは基礎を固めておくのも悪くない)



 野望の道は一歩で成らず。
 今は唯、牙を隠して爪を研ぎ続けるのみ。来るべきその日の為に。

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