第7話 支配者の片鱗
興奮に眼を輝かせるスリザリン生達へ、ミラベルが告げる。
「さて、後は教師達の仕事だ。減点される前に解散といこう」
文句を言う者は誰もいない。
スリザリン生達は幼さを残す少女の言葉に反論一つ上げる事なく、無言で従い、寮へと戻って行った。
その後に続いて帰ろうとしたところで、ハリーから声をかけられる。
「ミ、ミラベル……ベレスフォード、だったよね?」
「ああ。授業中に何度か顔は合わせてたが、こうして話すのは入学前の一件以来か。
元気そうで何よりだ、ハリー・ポッター」
緊張気味のハリーに、ミラベルは自然体で応じる。
ハリーにとってミラベルとは、マルフォイ以上に危険で近寄りたくない相手であった。
実質助けてもらったに近い今もそれは変わらない。
むしろ、あの圧倒的なまでの暴虐を見てしまっては余計にその思いが強まるばかりだ。
「そ、その……助けてくれて……」
「ああ、礼は要らん。貴様等の為にやった事ではない」
ミラベルは背を向けたまま、素っ気無く言う。
「さて、教師に見付かっても面倒だ。私はもう行かせてもらうぞ。
トロールは貴様等の手柄にでもしておけ」
そう言い、ミラベルはハリーの返事も待たずに歩き出す。
それに当然慌てたのはハリーで、ミラベルの後を追いかけるも曲がり角を曲がった所で見失ってしまった。
姿を隠す場所などないというのに、まるで霞のようにミラベルが消え去っていたのだ。
恐ろしい少女だ、と思った。
この日、ミラベル・ベレスフォードという存在にハリーは圧倒的な力強さと、そして一握りの恐怖を抱いた。
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