ハーメルン
家長カナをバトルヒロインにしたい
第三幕 清十字怪奇探偵団

「ねぇ 清継! 前の話きかせてよ!!」
「旧校舎……本当に行ったんでしょう!?」
「そ、それは……」
「出たの? 妖怪」

 朝のHR前。巻と鳥居、二人の女子が同じクラスの清継へと話しかけていた。

 内容は先日、清継が言っていた旧校舎探索の件についてだ。
 二人はその探索に同伴こそしなかったものの、その事の顛末には多少の関心をもっているのか、そのように清継に問い質していた。

 だが彼女たちの疑問に、清継は答えにくそうに言葉を詰まらせている。

 彼は探索の最中、妖怪に襲われた恐怖で気を失っており、彼自身は介抱されたリクオから「たむろしていた不良を妖怪と間違えて気絶していた」と教えられていた。
 結局、清継自身は最後まで妖怪の存在に気づくことがなく、不良を妖怪と間違えて気絶したなどという、みっともない事実を二人の女子に告げることができず、口を固く閉ざしていた。

「い、いなかったんだよ……あそこには……」

 苦し紛れにそう答える清継に、二人の女子は冷ややかな目つきになる。

「そーなのー?」
「なんか期待はずれ――」

 そんな二人の冷たい視線に晒されて尚、清継はめげない。

「うぐっ、し、しかし、待ってくれ! 今度こそは!! 今度こそは、たどり着いてみせる!!」
「「え~ほんとに~?」」

 そのように声高らかに宣言する清継。しかし、そんな彼の堂々たる発言に心打たれた様子もなく、巻と鳥居の二人はがっかりだと言わんばかりに、自分たちの席へと戻っていった。
 




「ふぅ……」

 そんな、クラスメイトたちの賑やかな会話を――家長カナは自分の席から溜息混じりに見つめている。

 カナ自身、彼らの探索に一緒には着いていかなかったし、旧校舎の中にも入っていない。
 彼女は『狐面に巫女装束』という変装で妖怪を装い、少し離れたところから、ずっと彼らの様子を見守っていた。
 妖怪に襲われても大丈夫なようにと、万が一のときのため、こっそり後をつけていたのだ。

 しかし、それも杞憂で終わった。
 人を驚かすような小妖怪はリクオが対処していたし、最後に清継たちに襲い掛かった妖怪はリクオの側近たちの手によって退治された。
 結局、自分がやったことは旧校舎の二階から落ちるリクオを助けたことくらいだ。
 これといって活躍のなかった自分の不甲斐なさに、カナの口から洩れる溜息の数も知らず知らずに増えていく。

「みんな! おはよう!!」

 そこへ朝のHRの合図をしらせるチャイムが鳴るとほぼ同時に、カナたちの担任――横谷マナがクラスに入ってくる。
 今年で三十歳と、教師としてはまだ若い独身の女性。誰にでも優しく明るい彼女は男子、女子その両方から多くの人望を集めている。
 彼女に席に座るよう促され、クラスメイトたちはきびきびと自分の席に着いていく。皆が座ったのを確認したマナは、クラスメイトたち全員に聞こえるよう話しを切り出していく。

「今日は……皆さんに大事なお知らせがあります!」

 大事なお知らせとは何だろう? クラスメイトたちがマナの話に耳を傾ける。

「今日、このクラスに転入生が入ることになりました!」

 すると、続く彼女の言葉にクラスメイトたちがざわめき始める。

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