接敵
西暦1998年、7月上旬
日本帝国、中国地方に海底を侵攻してきたBETA群が上陸開始
それを、帝国軍は迎撃を開始した
しかしこの時、タイミング悪く、大型の台風が日本帝国を直撃
帝国海軍の迎撃作戦参加を、強制的に止めた
結果BETA群は、悠々と帝国本土に上陸
帝国陸軍迎撃部隊と交戦を開始した
そしてその迎撃戦は、帝国軍に出血を強いた……
『畜生! ストーム2よりHQ! 支援砲撃を!!』
『HQよりストーム2。友軍誤爆の危険性が高過ぎる。支援砲撃は認められない』
『くそったれ!! だったら、後退の許可を出しやがれ! こっちはもう、半壊してる! これ以上は……しまっ!? があぁぁぁぁぁ!?』
『ストーム2! 中尉!?』
『ストーム4からHQ! ストーム2大破! 繰り返す、ストーム2大破!! とっとと後退許可を寄越せ! もう俺達は小隊単位しか残ってない! これ以上は持たねえぞ!?』
嵐により後方の砲撃陣地からの支援砲撃の着弾位置が大きく乱れ、友軍への誤爆を怖れて砲撃が出来なかった
それにより、前線を支えていた戦術機部隊の被害が拡大
戦闘は終結したが本来だったら、戦線の立て直しが要求されるレベルだった
だが、それすら許されなかった
台風は通りすぎたが、未だに収まらない強風
更に、間に合わせの整備しか出来なかった機体
もしくは、予備機で出撃せざるを得ない
それを重く受け取り、帝国陸軍は帝国近衛軍にも出撃を要請
近衛軍は、訓練未了の新兵を中心に編成された部隊を送ることにした
更に、極東国連軍と在日アメリカ軍も展開
共闘することになった
その目的は、帝国首都だった旧き歴史を誇る古都
京都の防衛戦闘だった
その守備基地があったのは、嵐山
そこに配属されていたのは、訓練未了の子女達
今の帝国軍は、全体的に女性軍人が増えてきていた
その理由は、徴兵出来る男性が居ないからに他ならない
二度に亘る世界大戦と、BETAとの戦争
その二つが、帝国だけでなく世界各国の軍人比率を、大きく変えた
『嵐山サンド中隊、出撃する!』
と言ったのは、帝国近衛軍サンド中隊の指揮官だ
その部下となっているのは、訓練未了の年若い少女達
そんな彼女達は、心中を不安が襲っていた
訓練が完全に終わってないのに、投入されたのは犠牲必至の迎撃作戦
『ねえ、唯依……私達、生き残れるかな……』
と問い掛けたのは、長い髪をリボンで纏めた一人の少女だった
その顔には、不安の表情が浮かんでいる
すると、小隊長に抜擢された少女
篁唯依は
「生き残るの……私達は、日本を守る近衛なんだから……」
と言った
その時だった
突如として警告を促す音が鳴り響き、網膜投影された映像の内、前方の一ヶ所が拡大された
そこに見えたのは、撤退してきているらしいボロボロの戦術機
77式撃震
それを見たらしい指揮官が
『元は……中隊か……』
と呟いた
しかし、見えているのは二機だけ
そうなると、他は全て撃破されたことになる
ふとその時、前側の機体が、ビルを回避するために僅かに高度を上げた
その直後、その機体を一筋の閃光が貫いた
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