物資の流れ、中央集権と近代
郡県制、中央集権。封建制、地方分権というか独立国の集合。
それは軍事的にはどんな差ができるでしょう。
『銀河英雄伝説』では、諸侯が集まった軍の弱さがありました。
それは日本の戦国時代でも、西洋でもあったことです。
根本的には、多くの独立国の連合軍というべきものになる。そうなるとどうしても兵器が規格化されず、命令系統などもうまくいかなくなるでしょう。
兵を連れて来る小領主はそれぞれが近隣との水争いなどの実戦経験を積み、部下を何代も掌握した小さな将です。士官を育てる教育の費用がかからないのです。ただしその経験は小さい戦いであり、兵器体系を変えるときにはマイナスにもなります。
もっと面倒くさいのは、リーダーが判断して動くのではなく、下の人間たちが主導してしまうことです。
部下と言っても単に絶対服従の機械ではない。豪族であり、一国一城ならぬ一村一砦の主。多くの人の生命と誇りを背負ってここにいる。周囲の同僚とも、敵対して戦ったこともあるし血縁もある。
そしてリーダー個人の武力や金は少ない。フリーザや大魔王バーンと違い、一人では何もできない。
そうなれば、勝利のために正しいことをすることすらできなくなります。
もっと古代で、多くの独立国から兵を集めるとしたら兵は農民、なら田植えや稲刈りなど忙しいときには戦えないし、動員にも時間がかかります。
兵を出すと決めてから、村々に使者がよくて馬、悪くすれば徒歩で回り、知らせる。村が出す人を選んで、村で持っている武器を配る。飯を炊いて干して干飯=アルファ化米とし、味噌を焼き固めて腰兵糧をつくる。
指示された集合場所……領主の館前の馬場とか?……に集まる。そこで話を聞く。そこで配られる装備を受け取ることもあるだろうし、装備は自弁ということも。
(何日かかるんだろうな……)と遠い目をしたくもなります。
領主も倉を開いて味噌を放出する。ある程度の鎧や槍や矢も用意してやる。……強すぎる武器防具を村に持たせたらそれで反乱されたり水争いがひどいことになったりするリスクがあります。準備してやるとすれば保管だけでも費用がかかるし武器防具には価値があるので盗賊を引き寄せます。用意する作業自体にも時間がかかるでしょう。
まして小領主が戦いになるなと判断してから、最悪は命令を受けてから買い物……徒歩や牛馬で山を越える通信販売。笑うしかないです。
普段から備蓄したらそれはそれで費用がかかります。常に倉庫費用、保管による価値の減少はとても重いのです。
注目しておきたいのが、装備が自前なのか公が用意するのか、それが大きい違いになることです。
三日分ぐらいの腰兵糧と槍ぐらいなら農村でも用意できるでしょう。矢はけっこうきついですが、投石紐と石ならなんとかなります。鎧も皮革ならある程度。
古代ギリシャも、自分の家で盾・スネ当て・槍を用意し、より重要なのは自分で弁当を用意して、盾を並べファランクスとして戦いました。
中世ヨーロッパの「騎士」も、要するに農村を守り、敵が攻めてきたら伝家の鎧を着て何人かの従卒に槍を持たせ、鎧と馬の力で無双して撃退する、それだけのことです。義務で王の軍に参加するときには……食料は略奪でしょうね……
そうそう、ここで忘れてはいけないこと。今の日本で手に入る、飯盒(はんごう)やアルミコッフェルは戦国時代以前から見ればとんでもない技術です。いや、普通のホームセンターの鉄フライパンも無理。
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