ハーメルン
ポケットモンスター待雪草
p.6 食べる幸せ

*リーフィアside

宴会から一夜明けて目を覚ますとキッチンから"トントントン"と何かを切る小気味いい音が聞こえてくる。身支度を整えてキッチンへ顔を出してみるとタマンタが11匹分の朝食を作っていた。

「おはよう、随分と早起きだね。朝早くからそんなに作るなんて大変じゃないか?」

「おはようございます。慣れてますし、こう見えても料理は好きなんですよ。昨日の宴会ではグレイシアさんが手伝ってくれましたし、私とはまた違った味で美味しかったですね〜!」

「ははっ、グレイシアは見栄っ張りで子供っぽいところあるのに女子力は意外と見た目通り高いよな。いや、見栄っ張りだからこそか」

「それ、グレイシアさんの前では黙っておいた方がいいですよ。間違いなく凍らされます」

「右ストレートで思い知らされたよ」

「あぁ…お腹の打撲痕はムクちゃん達との戦闘でついた訳じゃなかったんですね…」

「まぁね。でもその割にはタマンタはグレイシアをからかってないか?」

「あの初心(うぶ)な反応可愛いじゃないですか。だから反撃されないギリギリを狙ってからかうんです。師匠にはぐらかされる毎日の癒しであり、瀬戸際を攻めるスリルがたまらないです!」

「前半は共感するけど後半は…特殊な感性をお持ちのようで」

「リーフィアさんも(じき)に分かりますよ。その方面の素質をビンビン感じます!」

「うわぁ、分かりたくないなぁ」

「初日から右ストレートくらう時点で避けられない運命です。っと、朝ご飯出来たので配膳手伝ってくれると助かります」

「前半は聞かなかったことにして手伝うよ」



*リーフィアside

ここ2日間タマンタと接して感じたのは持ち前の女子力も相まって面倒見がいいこと、そして天然爆弾少女に見せかけて意外と洞察力が鋭いということ。恐らく半分くらいはわざと演じてるのではないだろうか。ネオラントさんの弟子というのも分かる気がする。

さて、11匹分の朝食も運び終えてグレイシアとムクちゃん達を起こさないといけない訳だが…

「起きなさーいカンカンカン朝ですよ〜カンカンカンカン」

タマンタがおたまでフライパンを連打する。もう少し優しい起こし方はなかったのか。ほら見ろ皆耳を抑えながら渋い顔してる。

「皆さん起きましたね、おはようございます!朝ご飯作ってあるので顔洗ってきてください」

鬼か。起こされる前に起きてよかった。

「ふぁ〜ぁ…申し訳ないけど昨日美味しくてつい食べすぎちゃったから私はいいわ」

「ダメです。食べないと健康にも悪いですし、元気出ないですよ。朝ご飯は素敵な一日を送るための大事なスイッチなんですから!」

ムクホークを叱るネオラントの姿が重なる。ネオラントさん、弟子は順調に育ってますよ。



*リーフィアside

「「「「いただきまーす!」」」」

何はともあれ11匹で食卓を囲む。朝ご飯のメニューは大根と豆腐の味噌汁と小松菜のお浸しであった。

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