7話
「紫様!聞く必要はありません!」
「藍、ちょっと黙ってなさい」
「なっ…!紫様!?」
まさかの主の言葉に藍が目を見開いて驚く。何故、といわんばかりの顔だ。
「話を聞いてくれて助かるわ、今のあの子達はいわば二重人格の裏側の人格のようなものなのよ、記憶は共有しているけど感情は別にある。つまりあれは本来のレミリア・スカーレット、フランドール・スカーレットとは別人と考えてくれていいわ」
「それは知ってるわ、けどどうするのかしら。私の能力でも面倒臭いことこの上ないわよ?あれを分離させるのは」
自分に不可能なことをこの魔法使いが出来るとは思えない。そう思った紫。しかしパチュリーはそこで初めて表情を変え、得意気にこちらを見据えた。
「そんなものとっくにこっちで対策してるわよ。これを見て」
「それは…?」
何かを懐から出てきたパチュリー。怪しいものかどうか警戒する藍。まだ信用していないようだ。
「私の全てを注ぎ込んで作った魔道具よ、これには形無いものであろうとも分離させ、バラバラにする力があるのよ。それは概念であろうと感情だろうと関係ないわ」
「へぇ…そんな便利なものが…」
とは言いつつもこれはこの魔法使いが作れるレベルのものじゃないことに違和感を覚える。
「まあフランが居なきゃこんなもの作れなかったことは魔法使いとして悔しいけどね…」
なるほど納得がいった、と紫は頷く。パチュリーは首飾り状のそれを少し自慢げにそれを紫に見せ、そして作戦の説明をし始める。
「作戦は本当に単純よ、まずは貴方達に囮になってもらう。そこで隙を見てこの首飾りをつけさせて私が魔力を注ぎ込むだけ。ね?簡単でしょう?」
「はぁ…貴方無茶言うわねぇ…」
「無茶も通すわよ、友達の為ですもの」
「まあいいわ、乗りましょう。アルクにとってもお姉さんが生きていた方が良いだろうし…」
「決まりね」
こうして一時だけとはいえ協力関係が結ばれたパチュリーと紫、各々が大事なものを守る為にこの戦いに勝つと決めている、そこには一片たりとも恐怖の感情など無かった。
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嫌だ。
なんで自分だけ。
『僕』はただ『普通』が欲しかっただけなのに。
────別にお前のせいじゃない、気にすんな
なら誰のせいなの?
────あ〜、誰かのせいだ。少なくともお前じゃない。
ねえ
────どうしたよ
君だけは『僕』の味方で居てくれる?
────味方で居るかどうかは知らんが…一緒には居てやるよ
そっか、ありがとう。
────はいはい、どういたしまして。それより今日は何するよ?
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