幕間 紅魔館の日常
穏やかな紅魔館、チュンチュンと鳥が囀り、朝の訪れを予感させる。そんな穏やかな朝に不釣り合いな程に紅魔館の雰囲気は淀みに淀みきっていた。
「フラン、貴女またアルクの部屋で寝ようとしたわね?普通に考えてそこは長女である私がアルクの横で寝るものでは無くて?」
「いや、ていうかお姉様がアルクの隣で寝たら何するか分からないから、私が横で寝てるんだけど?まぁアルクには断られたけど、多分照れ隠しだし、私の方がお姉様よりおっぱい大きいし」
そう言ってドヤ顔でレミリアを煽るフラン、アルクに添い寝を断られているというのに凄まじい余裕だ。
「胸の話は今関係無いだろ!いい加減にしろ!!てか、そんなに変わらないじゃない!」
「でも実際私の方が大きいよね?」
むむむ…とレミリアは頬を膨らませて怒る、生きた年数は何百年といえど吸血鬼の年齢で換算するとまだ子供だ、感情的になるのも仕方ないことだった。
「何がむむむ…だ!!」
「は?殺すわ」
レミリアは完全にキレた、堪忍袋の緒が。フランに飛びかかるレミリア、それに対抗するように構えるフラン、お互いの拳が交差し部屋にある物が次々に壊されていく。
「オラァ!生意気なのよ妹の分際で!!」
「その妹に色んなところで負けてどんな気持ち?ねぇ、どんな気持ち?」
「ヌゥン!ヘッ!ヘッ!ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!!(マジギレ)」
完全に口ではフランの方が上だ、冷静な状況での知恵勝負なら確実にレミリアの方が上だがこの煽りに黙っていられるほどレミリアは大人ではなかった。
「フラン姉様、レミリア姉様、朝ご飯の時間ですよって、ぇええええ!!?」
アルクは扉を開けた瞬間に、朝から姉二人がマジの殴り合いをしているという状況に早くも脳の処理が追いつかなくなっていた。
「ちょっ!やめてください姉様達!屋敷が壊れますから!!」
「四人に勝てるわけないだろ!!(フォーオブアカインド)」
「馬鹿野郎!お前私は勝つぞお前!!( スピア・ザ・グングニル)」
槍とか炎とかも飛んできてるんですけど!?と、アルクは部屋の端でヒィヒィ言いながら蹲るしか無かった、彼は強者にはとことん弱いのだ。そもそも、あんな質量の魔力をくらったら確実に消滅は不可避である。
「た、助けを呼ばなければ…」
ずりずりと四つん這いのまま部屋を出るアルク、そのまま向かった先は…
「パチュリーさん!助けてぇ!」
「アルク?どうしたのかしら、そんな血相を変えて」
「姉様達が…」
パチュリーさんには姉様達が狂ってしまい殴り合いをしていること、あと多分部屋が壊れてしまってることを話した。すると、みるみるうちに目が死んでいき青筋が額に浮かんできた。
「曲がりなりにも紅魔館のツートップが殴り合いの喧嘩なんて…情けないにも程があるわね…」
「な、何とか出来そうですか?」
「何とかするわ、伝えてくれてありがとう」
そう言うと何冊か魔導書を持ってパチュリー様は図書室から出ていった。
「あ、アルクさん!こんにちは!パチュリー様はどうされたんですか?」
「小悪魔さん…」
「こあでいいですよ!」
ひょこっと本棚から顔を出す小悪魔さん、この人いつも図書室で掃除とかパチュリーさんのお世話とかしてるけど、何者なんだろ?全然この人のこと知らないんだよな俺。
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