幕間 紅魔館の日常
「これで私が女としても優れていることがわかったね(笑)」
「フラン、女の子はマジの殴り合いはしないし、そんな性格の歪んだ煽りはしないわ」
パチュリーは天井から吊るされる二人を見て深々とため息をつく、友人としてもこんな状態の二人をこのままにしておくべきか、迷っていた。
「貴女達、アルクが困っているわ。少し落ち着きなさいな」
「アルク!?アルクは何処!?」
「レミリア貴女、麻薬中毒患者みたいになってるわよ」
目を血走らせアルクを求めるその姿は、確実に紅魔館の主としての矜恃を失っていた。
「お姉様、おちおち落ち、着いて、てててて」
「落ち着くのは貴女もよ、フラン」
そもそもアルクに好かれたいなら、その態度を今すぐ改めないと意味が無いと思うんだけど…と、パチュリーは嘆息する。
スカーレット姉妹、最強最悪の吸血鬼の姉妹、破壊と運命を司る災厄。パチュリーはこの二人をそう認識していた。アルクと二人が出会うまでは。
「それが今ではこれだものね…」
「「何か言った?パチュリー」」
別に何も無いわ、と話を切り上げ部屋から出ていくパチュリー。魔法で作った鎖を解かずに。
「パチュリー?これ解いてくれないかしら、ていうかこの鎖どうなってるの?全然壊れないんだけど」
「私の能力も効かないよ!詰んだねこれ!」
「私は分析と実験、それを実践する行動力が自らの取り柄だと思っているわ。ともすれば、魔法の才能よりも」
「そんな私が、紅魔館ひいては外の世界でも最強クラスの貴女達に対する対抗手段を作らないわけないじゃない」
いい実験が出来た、とパチュリーはその場を後にした。鎖の名は『グレイプニル』神話におけるフェンリルを封殺した縄の名である。
「まだ穴があるわね…あの二人にしか効かないし」
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