ハーメルン
【完結】The elder scrolls V’ skyrim ハウリングソウル
第六話 リバーウッド
洞窟を脱出した時、ヘルゲンを焼き払った黒いドラゴンが上空を通過したが、ドラゴンは健人達に気づくことなく、そのまま北西へと飛んで行った。
その後、ヘルゲンを脱出した健人達は、その足でハドバルの故郷であるリバーウッドへと向かった。
途中でオオカミなどの襲撃もあったが、ハドバルとドルマが特に問題なく撃退。
リータと健人は戦いには参加していない。
健人はまだ戦いには慣れていないし、リータは多少落ち着いたとはいえ、両親を失ったショックは未だに大きい。
せめて、一息つける場所に行く必要があった。
「見えてきたぞ、リバーウッドだ」
「あれが……」
リバーウッド村。
ヘルゲンとホワイトランの中間に位置する村で、主に林業で成り立っている小村だ。
村を挟むように切り立った山々が見下ろすこの村には外敵は少ないのか、外壁も村を囲むようなものではなく、せいぜいヘルゲン側の門の付近に申し訳程度に設けているくらいだ。
村の中も穏やかな雰囲気に満ちており、災禍の影は微塵も感じられない。
「ここはまだ静かだな。いいか、お前たちはとりあえずホワイトランまで行くべきだ。今リバーウッドには満足な兵力は駐留していないからな」
ハドバルの言葉に、健人は村を見渡してみる。
平和な雰囲気に満ちた村なだけに、見回りをしている兵士の姿は見えない。
ハドバルの言うとおり、先ほどのドラゴンが襲ってきたら、この村はほんの十分足らずで焼き尽くされるだろう。
「アルヴォア叔父さん!」
ハドバルが誰かに向かって声をかけた。
彼が声をかけたのは、正門の近くにある鍛冶場で鉄を打っている中年の鍛冶師。
ノルドらしい大柄な体躯と、汚れたエプロン。茶色のひげを蓄え、顔を煤で汚している。
アルヴォアと呼ばれた男性はハドバルを見ると目を見開き、手を止めて健人たちのそばに駆け寄ってきた。
「ハドバル!? ここで何しているんだ? 今は休暇中じゃないのか? いったい何が……」
「シー、頼むよ叔父さん静かにしてくれ。俺は大丈夫だから。とにかく、話は中でしよう」
「何事だ? それに、彼らは……」
「彼らは俺の友達だ。そして、命の恩人だ。ほら、全部説明するから」
ハドバルはアルヴォアを促すように、彼を鍛冶場のそばにある家へと連れて行こうとする。おそらくは、その家がこの鍛冶師の自宅なのだろう。
アルヴォアは怪訝な表情を浮かべているが、とりあえずハドバルに促されるまま、自宅の扉を開けた。
「みんな、悪いが叔父さんと話をしている間、宿屋で待っていてくれ。話をしたら、すぐに迎えに行くから」
健人達へと振り返ったハドバルが、小さな袋を手渡してくる。
ジャラジャラと音が鳴るその袋の中身を確かめると、いくらかのお金が入っていた。どうやら、このお金を使えというらしい。
ハドバルの視線が、ちらりと健人の後ろにいるリータへ向けられる。
さすがにヘルゲンでアストン達を殺された直後に比べれば幾分ましにはなっているが、両親を目の前で失ったリータの顔色は、未だ蒼白といっていい状態だった。
さらに、ここまでの逃避行で、体力的にも消耗している。
すこしでも、休める場所が必要だった。
「分かりました。それで、宿屋は何所に?」
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/5
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク