ハーメルン
萌え声クソザコ装者の話【and after】
変わらなければいけない事

 私達の配信のネット上での反応は好評だった、多少私の正体を探る様なものが増えてしまったとは言え「たのしそうな」翼さんを見れただけで大きな価値があったようだ、私もそう思う。

 私のアカウントへ寄せられるコメントも荒らしが殆ど湧かず、むしろ徹夜FPSでゲロ吐いた時よりは少ないレベルである、あの時はひどかった、10割私の落ち度だったが、汚い音を音MAD素材にされた時はちょっと泣きそうになった。

 さて、エゴサーチエゴサーチ、一に二にエゴサーチ三四にエゴサーチである。

 私はあくまで闇の者、光に当たりすぎて干からびたナメクジになってはいけない。
 しっとりヌメヌメ暗黒ナメクジであり続ける事が私に求められている事なのだ。

 ちなみに昨日はかわいいに振りすぎたのでしばらくは容赦なくブチかましていくつもりであり。

 それにしても、とても美しいものを見られた。

 私にとってこの世で最高に綺麗な存在とは翼さんである、その翼さんの笑顔は最上である。


 その笑顔を守る為にならやはり、私も努力しなければならないのだろう。
 とはいえ具体的に何をすればいいのかわからないので司令の所でいつもの様に特訓を受けるつもり……でも司令もなんか時々用事で出掛けてしまう事があるし、そういう時はどうしよかと考える。

 私も時々は出掛ける、それは機材の入手や、日用品の入手の為……せっかくだからバイノーラルマイクでも買おうか。

 とATMで通帳の残高を確認する。

 ビビる。
 額が凄い事になってた。

 とりあえず必要な分だけ下ろし、一度家に戻る。

 そして「男装」し、再び家を出る。


 私はナンパが嫌いだ、マジで滅びろと思うぐらいに嫌いだ、故に街に出る時は絶対に男装をして女らしさを出さない。
 声も相応に「少年」らしさを出す、いわゆるイケボだ、これも練習した、萌え声と違って結構苦労した。

 変装は完璧、いざ買い物へ。


 街の様子は普段と変わらない、凄く平和、昔の私ならば街の様子なんて気にもとめなかっただろう。
 今は違う、この平和は翼さんや立花さん、それに二課の皆さんが守りたいモノなんだと思う。

 ノイズ、私が今、何よりも嫌いな存在。
 こいつらが存在するから、翼さんは笑顔で歌い続ける事が出来ない、こいつらが存在するから立花さんも戦い続ける事を選ばされる。

 私はどうだろう、何が出来るだろう。
 ノイズと戦う力を持っていて、何もしない、なんて、もう出来ない。

 私も戦えばいいのだろうか、翼さんが皆の笑顔を守る為に戦うなら、私が翼さんの笑顔を守る為に戦う、それが私に出来る事、なんだろうか。

 …………。

 でも死ぬのも、傷つくのも怖い、それよりも、私が傷ついて翼さんの笑顔が曇るのはもっと嫌だ。

 私は何もせずに、ただ日々を繰り返していればいいのだろうか?

 ……いやそれは許されない、私は。

「っと!危ねぇぞ!」

 思考に呆けていたせいで危うく川に落ちる所だったが寸前の所で誰かに引き止められる。

「ああ、ありがとう。考え事をしてて」

 その少女は凄く、その、酷い格好をした少女だった。

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