マザーベース:ハンティング作戦
『全スタッフに告ぐ、本日の作業は全員中止ッ! 全員司令プラットフォームへ集まるように!』
MSFのスタッフたちが、その日の職務に取り掛かろうとする時間帯に、マザーベース全体にカズの声が拡声器を通して響き渡る。
突然の放送にスタッフたちは大慌てで武器を手にし、指示されたプラットフォームへと駆けつける。
ここ最近マザーベースを襲うものとすれば大量の海鳥による糞爆撃、戦闘班はともかくとしてそれ以外のスタッフは若干平和ボケしつつあったが、全員が何か非常事態があったに違いないと普段のほのぼのとした様子からは想像出来ない身のこなしでプラットフォームへと集まる。
何があったんだ、敵はどこだ?
誰でもかかってこい、返り討ちにしてやる!
そう思いつつ駆けつけたMSFのスタッフたち、だがなにか様子がおかしい。
そのプラットフォームには糧食班のほぼ全員の姿と、演台に立つサングラスをかけたカズヒラ・ミラーの姿がある。もちろん我らがビッグボスの姿もある。
ざわめくスタッフたち…。
彼らの前でカズはあーあー、とマイクテストを行ってから話し始める。
「今日みんなに集まってもらったのは、このマザーベースにかつてない危機が訪れていることを知らせるためだ」
カズのその言葉に、やっぱり何かマズい出来事があったのではないかと全員緊張した面持ちでMSF副司令カズヒラ・ミラーの次の言葉を待つ。
深刻な空気がマザーベースが包む。
「マザーベースの食糧が…尽きようとしている。よって、我々MSFの生存をかけた一大作戦、動物捕獲作戦を実行するッッ!」
ミラーの力強い声がマイクを通して全MSFスタッフのもとに響き渡った。
さかのぼること数時間前…。
「スネーク、食糧の備蓄がもう底をつきそうだ」
任務を終えてマザーベースに帰ってきたスネークを呼び、カズは深刻な表情でそう打ち明けた。
いつかはこうなるだろうとスネークも予想していたが、思っていたよりもそれは早く訪れたのである。
「バルカン半島での仕事を終えて仕事は入ってきているが、安定した取引の確立に間に合わなかったようだ。スネーク、すまない……これはオレの不徳の致すところだ」
「おいしっかりしろ、オレたちは一丸となってこの食糧危機に取り組んできたじゃないか。最善は尽くしていたんだ、仕方がない。だがお前の事だ何か考えがあるんだろう?」
「ああ、もちろんだスネーク。日本のことわざに腹が減っては戦ができぬというものがある、食事は戦場に生きる兵士にとって数少ない楽しみの一つだ。何の対策も練らずにこの時を待ち続けたわけではない」
最近ふざけて女の子にちょっかいをかけて返り討ちにあってるカズからは想像もできない、ある決意に満ちた姿であった。
MSFにとってカズが果たしている役割というのはとてつもなく大きい。
組織の運営や管理はもちろんのこと、スタッフ一人一人のケアを行うことだって忘れない…その結果がサウナの一件なのだが、あれはカズの病気というべきものだろう。
「それで、対策は…」
「あぁ……だが自信がないんだ」
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/6
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク