ハーメルン
TITANUS‐THE TITAN MONSTRAS‐
怪獣探偵
―GIRLS東京支部・会議室―
そこは大会議室とは別の部屋。大会議室ほどの広さはないがトモミとベニオにラン、そしてアキ、レイカ、ミサオとサチコが向かい合って集まっていた。
「では再度確認いたしますけど…アギアギは以前にもこのトカゲの姿をした怪物に襲われたのは確かですか?」
「はい、ボクがおじいちゃんの葬儀後に火葬場から離れた地点にある山中で遭遇しました…あの時はダグナさんとお兄ちゃんが何とか助けてはくれましたが…ボクはその時まで心の内に…なんと言うか『居なくなりたい』と一瞬だけ考えるほどに精神が追い込まれていていたのは確かです」
次にレイカ…
「私もエレキングさんと待ち合わせしていたにも慣れない地域だったため道に迷って少し遅れそうだったので合わせる顔がないって思ってしまった瞬間はあります」
そしてミサオとサチコ…
「あたしとザンドリアスはこの間のライブの事で意見が対立して口論からの喧嘩になって…特にあたしはそこまでムキになった自分には後悔しましたけど消えたいとかは特に…」
「あっ、あたしは…哀しいってのもあるけど消えたいとかよりも『この場から居なくなりたい』ってのは思いましたけど…」
謎の怪物に襲われかけた4人3組の怪獣娘たちの中で3人に特徴が合致するのはその瞬間的とも言える悲観思考による『居なくなりたい』だった。
「やはりアギアギの言う通り…あの怪物たちが皆さんの前に突如として現れる条件は『居なくなりたい』と言う気持ちに呼応するように現れるからなのですね」
「ちょっと待ってください!そんな事を心に思ったザンドリアスならまだしも狙われたのはあたしっすよ!?」
その条件に唯一合わないミサオはなぜ自分が怪物たちの狙いになったのかを説いた。
「まぁザンドリアスじゃ弱っちく見えたんじゃねぇの…目的はただ強い怪獣娘を狙ったのかもしれねぇぜ」
「ふえッ!?ししょ~、あたし狙われたくは無いですけど…なんか酷くないですか!?」
「とはいえ、その瞬間の中でアギアギ達が思った感情が関わっているのは確かです…シャドウミストのように弱った心のスキを突つように、この怪物たちは弱った心を持った状態の怪獣娘さんたちを狙うようですね」
「『居なくなりたい』と言う気持ちかどうかは知らないけどそういった言葉は条件口実なのかもしれないわ…あなた達の弱った心があの怪物にとって何かが好都合であり、あなた達が奴らの目的に一致すればたとえ2人以上居てもその中から条件の見合う者を選出すると言った所でしょう」
ランの見立てでは怪物の中で特定の目的に見合う怪獣娘たちがマイナスな感情に晒される状況下にあることに加え、かつ能力がある者を選出する、そういった一連の構図を電子パッドの中の絵画アプリで図を作成し会議室内のモニターに映し出した。
「エレキングさん、絵うまいっすね」
「この程度、プロの目線からしたらお絵描き程度…アイザワ先生に比べれば陳腐な絵よ」
ミサオの誉め言葉に決して靡かぬランは髪に隠れた耳をたくし上げる仕草をした。
「それと、その怪物たちの目的には“ある言葉”が関わっている気がします」
「言葉?それは一体何ですか、アギアギ?」
アキは怪物たちが一同に違った言葉を口にしても同じ単語だけは共通で喋っているように感じたことを話した。
「それは…『ダゴン』と言う単語です」
「ダゴン…?確かになんかそんなこと言っていたようなぁ…」
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/12
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク