EP.21[居場所]
「セアアアッ!」
工事現場でのヒュプノスとの戦い。レオパルド・デジブレインの爪が、アズールに襲いかかる。
歯を食いしばりながら、アズールは二つの剣でその重い一撃を受け止めた。
爪を受けた刀身からは火花が散り、アズールは苦しそうに呻く。
「くう……!」
「ハハッ! いいぞ、オレたちの力は既に仮面ライダーに匹敵している!」
ワイルドジェッターを奪った事で強化された爪が、再びアズールに降りかかる。
防ぎきれず、アズールは爪を胸に受け、地面に仰向けに倒れてしまった。
「しまった!?」
「よし、このまま押し切って――」
五体のデジブレインがそのままアズールに集中攻撃を仕掛けようとした、その時だった。
突然、超音波がデジブレインたちの耳内に突き刺さる。悲鳴を上げ、レオパルドは思わず両耳を覆った。
ドルフィンタイマーだ。隙ができたと見るや、リボルブと雅龍は即座に態勢を立て直す。
「翔、今の内に一旦退くぞ!」
その言葉を聞いてアズールは跳ねるように飛び起き、リボルブの元へと飛翔する。
無論デジブレインたちも仮面ライダーを逃すまいと追撃しようとする。
だが、二つのスタイランサー・スピアーモードの穂先から霧のようにインクが放出され、煙幕代わりとなった事でまんまと逃げられてしまった。
「チッ、逃げ足の早いヤツらですねぇ」
地団駄を踏み、ピラニア・デジブレインが言った。レオパルドも舌打ちしつつ、しかし他の二人を諌める。
「だが追い詰めてるのはオレたちの方だ。まだこの辺りにいるはず、焦らず行くぞ」
「ガッハッハッハ、了解だ!」
「了解しました、マイリーダー」
拳を握り込んでゴリラ・デジブレインが首肯し、ピラニアも同様に頷く。
こうしてデジブレインたちはそれぞれ散開し、各個撃破に向かった。
ただしハーミットクラブとシーアネモネは融合しているので、二体で一緒にのろのろと彷徨い歩く事となった。
「面倒ダナ……」
「面倒ダワ……」
溜め息と共に、二体のデジブレインはそんな事をぼやいた。
「クソッ……まさか、ここまで苦戦するとはな」
建造物の内部で、壁に寄りかかって休息しながらリボルブが言った。
ザギークもこくこくと頷き、地面に座り込む。
「ウチが戦った時より明らかに強くなってんよアレ。どーしよっかねー」
「どうもこうも。さっきは奇襲されたが、次は落ち着いて対処すれば勝てるだろう」
「そりゃゲッちゃんだけでしょー。マテリアプレート変えてるから戦法も前と違ってるし、まーた分析し直さないと」
面倒臭そうに言いながら、足を放り出すザギーク。アズールも、自分と同じく飛翔できる相手に対してどう戦うか、頭を悩ませている。
そんな時、リボルブがパンッと拳を自らの掌で包み込むようにしてぶつけ、三人に声をかけた。
「ひとつ作戦を思いついた。上手く行けば、ヤツらを纏めて一網打尽にできるぜ」
「本当ですか!?」
「ああ。そのためにも」
リボルブは雅龍、続いてアズールと順に視線を送る。
「二人には特に頑張って貰うからな」
「え? 僕たち……ですか?」
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