EP.25[悪夢にサヨナラを]
「コォォーン!」
現実世界の帝久乃市にて。
ここでは、リボルブとサワーグレープ・デジブレインの戦闘が行われていた。
サワーグレープは咆哮し、接近しつつ爪による攻撃を試みようと走っているようだ。が、当然射撃武器を持つリボルブがそれを許すはずもない。
《バーニングモード!》
「オラァッ!」
二つの銃を組み合わせ、炎の弾丸を発射。それが体からブドウの成る木の枝を生やしたキツネの脚に向かう。
その直後にサワーグレープは爪でブドウを裂き、果実から液を放散させて炎を消し去った。
「ンコォォーン!」
被弾しても怯まず、サワーグレープはさらに脚を速める。
炎を掻き消されたせいで、ダメージが通っていない。おまけに傷のついた実はすぐに再生している。
リボルブは鬱陶しそうに舌打ちすると、一度バックステップで距離を取る。
だが、その時。突然サワーグレープの体についた木の枝が震えたかと思うと、ブドウの実が弾けるように全て飛び出した。
「何っ!?」
それらの実は放物線を描きながら、あるいは転がりながらリボルブの方に向かう。
彼には何が起きたのか分からなかったが、しかしブドウの実が徐々に赤みを増し始めたので、嫌な予感がして再度遠ざかろうとした。
瞬間、実が破裂して果汁が飛び散る。リボルブの装甲を溶かす程に、強烈な酸を放つ果汁が。
「があぁっ!?」
肩と膝の装甲が酸に灼かれ、苦悶するリボルブ。そこに追い打ちをかけるべく、先程よりもスピードが増したサワーグレープ・デジブレインが爪を伸ばす。
ブドウの実を失った事で、身軽になったのだ。
「ぐぅっ!!」
「ココーォン!」
酸の果汁を帯びた爪の連撃が、リボルブを斬り裂く。
中々に手強い、だが――。
「倒せねェ程じゃねェッ!」
スピードにはスピード。
合体させた武器を分離させ、リボルブは二挺拳銃で迎え撃つ。
牽制を混ぜた射撃の乱打はサワーグレープも簡単に避けきれず、クリーンヒットこそしないものの、データの弾丸は僅かに狐の腕や脇腹を抉る。
「コォォ……」
威嚇するようにサワーグレープが唸ると、再び枝に果実が実る。
そんなもの関係ないとばかりにリボルブは撃ち続けるものの、今度はブドウ自体を盾にし、その果汁で弾丸を溶かして防御する。
「チッ!」
思ったよりも対応が速い。舌打ちをしつつ、リボルブはまた距離を取った。
この場合は威力の高いバーニングモードで対処したいところではあるが、そうするとまた果実を破裂させて攻撃して来る恐れがある事をリボルブは理解している。
では、どうするか。リボルブは、二枚のマテリアプレートをそれぞれ二つの銃に装填した。
《フィニッシュコード!》
「大盤振る舞いだぜ」
《Alright!》
「喜びな!」
クルクルと銃を回転させ、マテリアフォンをかざして必殺を発動。銃口に赤い光が集まっていく。
直後、サワーグレープは大技に備えてその場で防御態勢に移る。それこそがリボルブの狙いとも知らずに。
《ジェイル・マテリアルカノン!》
《ダンピール・ネオマテリアルカノン!》
銃口から放たれる無数の弾丸、その全てが精確にサワーグレープの枝先を撃ち、実を地面に落とす。
そしてリボルブラスターV2側の破壊力の高い銃弾が、サワーグレープ・デジブレインの右膝を叩いて逆方向に折り曲げた。
「コンッ!?」
「まだまだァ!」
《フィニッシュコード! Alright!》
マテリアプレートを薬莢のように排出し、新たに二つのプレートがリボルブラスターへとセットされる。
そして、必殺技が発動するのと同時に、身動きの取れない狐へ銃口が向けられる。
《オラクル・マテリアルカノン!》
《デュエル・ネオマテリアルカノン!》
「くたばりやがれェェェッ!」
もう一度ブドウの実をつけようとしていたサワーグレープへ、容赦なく眉間と胸に銃弾が突き刺さる。
それらを受け、ついに奇妙な姿の狐は悲鳴を上げて爆発四散した。
「どこのどいつの手駒なのかは知らんが、中々手強い相手だったな……」
ひとまず戦いが終わり、鷹弘は変身を解いて息をつく。
翔たちも今頃は、これ以上の敵を相手に戦っているのだろうか。
そんな風に思いを馳せながら、鷹弘は空を見上げる。
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