EP.35[Revolve Reloaded]
時は、リボルブと雅龍がリトルマッチ・デジブレインと交戦している最中まで遡る。
圧倒的な力を持つリトルマッチを前に、二人は敗北寸前のところまで追い詰められていた。
「ここまでかよ、クソッタレ……!」
歯を軋ませ、リボルブはそのカゲロウに似たデジブレインを睨みつけて立ち上がる。
しかし、やはりリトルマッチは手強い相手だ。炎の拳の乱打が降りかかり、ついに変身も解除させられてしまった。
そんな時だ。
鷹弘の持つマテリアフォンの画面が光り、銃声と共に空母のような物体が姿を現したのは。
「うおっ!?」
凄まじいスピードで放たれた銃弾は、爆風と共に炎を吹き飛ばす。それに伴って、炎の分身が数体散り散りとなって消滅した。
「こいつは……!」
自分の目の前を浮遊する空母型の銃、ヴォルテクス・リローダーを手に取り、鷹弘は目を白黒させている。
すると、マテリアフォンに通信が届いた。
『完成したわよ、鷹弘!』
「陽子か! けどこいつはマテリアプレートじゃねェぞ!?」
『大丈夫! ヴォルテクス・リローダーにV3のプレートそのものを内蔵させたの、これでオーバーシュートせずに能力をフルに活用して戦えるはずよ!』
「なるほどな……じゃあ、ありがたく使わせて貰うぜ」
そう言って鷹弘は、撃鉄の位置にあるスイッチを親指で押し込んだ。
すると、いつものマテリアプレートの起動音が廊下に響き渡る。
《ラプターズ・フリート!》
名を読み上げられたそのアプリは、いわゆる艦隊戦略シュミレーションゲームだ。
自国を勝利に導く将校として、艦隊に指揮を出す形で操作を行い、襲いかかる敵機を打倒するという内容だ。ただし、これらの艦や戦闘機は鷹や鷲といった鳥類の要素も併せ持っている。
起動の後、鷹弘はそれをマテリアプレート同様に、アプリドライバーのバックルへとセットする。
《ロック・オン・ターゲット! ロック・オン・ターゲット!》
「変……身!」
《Alright! タクティカル・マテリアライド! ラプターズ・アプリ!》
鷹弘が、銃の上部である甲板の位置にマテリアフォンをかざした。
その瞬間、銃口から六体の鳥型の戦闘機のテクネイバーが射出され、鷹弘の眼前を舞う。
そして翼をはためかせて身を翻し、赤いラインの走る黒色のアンダースーツを纏った鷹弘に向かって飛来した。
《ホーク! ファルコン! アウル! レイニアス! ヴァルチャー! イーグル!》
「ぐ、オオオオオッ……!!」
炎の羽根が吹き散り、頭部・右腕・右脚・左腕・左脚・胴体といった順にテクネイバーが命中し、装甲となって体を覆う。
最後に燃え上がる巨大な翼に包み込まれ、マントのように長い裾のコートが伸び出てくる。
腕や脚に描かれた翼の模様と、両肩と胸についた多種多様な鳥の勲章。V3のマテリアプレートによって、六体ものテクネイバーと一体化する事で得た力。
今この瞬間、リボルブは新たな高みに新生したのだ。
《羽撃く戦艦、フルインストール!》
「ラァッ!!」
六種の鳥の嘶く声と共に、全身から赤い炎を漲らせる。その姿の名は――仮面ライダーリボルブリローデッド。
恐怖を感じているのか、リトルマッチ・デジブレインの炎が激しく揺れ動いていた。
「ブチのめす……!」
《リボルブラスター!》
いつもの銃を構えるリボルブ。直後、リボルブラスターが右腕から溢れ出た炎を帯び、赤く輝きを増した。
射撃武器の性能強化。右腕に同化した、ファルコン・テクネイバーの力だ。さらに反動やブレなど命中精度に関わる部分を左腕のレイニアス・テクネイバーが補助する。
トリガーを引くと、今までとは比べ物にならない速度で炎の弾丸が飛び、着弾と同時に大爆発を引き起こす。
「キロロロ!?」
連射と爆風によって、リトルマッチの炎はどんどん剥がされていく。
終いには、炎の中に紛れていた小さなカゲロウが姿を見せていた。
これがリトルマッチ・デジブレインの本体なのだ。
「見つけたぞ、そこだ!」
《スピーディ・チューンアップ!》
決定的なチャンス。雅龍は炎の海の中へと疾走し、逃げ惑うカゲロウへと容赦なく拳を叩き込み、壁ごと潰す。
リトルマッチ・デジブレインは、ただそれだけで呆気なく儚い命を散らした。
「よし、さっさと行こうぜ。翔たちが心配だ」
その言葉に首肯し、雅龍はリボルブの後に続いて走り抜けるのであった。
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