20,21
「先手必勝だ。」
ジルはスケルトンナイトに素早く斬りかかる。
カキ-ン、カキ-ン、カキ-ン。
何度も斬りかかるがことごとく簡単に受け流されてしまう。
「くっ、こいつかなり強い。」
そしていつのまにかスケルトンナイトに押されて受身に回されてしまう。
「ぐっ、くそぅ。」
尚も攻めてくるスケルトンナイト。
そしてついに
「わっ!」
スケルトンナイトの剣がジルを貫こうとした瞬間、
ジルの目の前で剣の動きが止まった。
「あれ?どうなってるんだ?」
スケルトンナイトは一旦その場から離れ構え直した。
「もしかして遊ばれてるのか?それとも...」
不思議な気持ちでいっぱいになりながらも再び立ち向かっていく。
するとまたとどめをさされる瞬間に手が止まる。
何度も何度もそれが繰り返された。
「ダメだ-!勝てねーよ。」
疲れて地面に腰をつく。
「それにしても腹が減ったな。そういや朝食べてから
何も食べてなかったな。よく分からないけど
かなり時間が経ってるんだろうな。」
そう言ってお腹をおさえながらスケルトンナイトの方を
見てみると、何かを指差してる様子。
その先を追ってみると、
「きのこがいっぱい生えてる。これ食えんのかな?
まさか毒キノコなんてことはないだろうな?」
恐る恐るきのこをとってみる。
「全然得体が知れないけどこのままだったら餓死するかも
しれないし。食べてみるか。」
手にしたきのこを少し裂いて目を瞑って口の中に放り込んだ。
「う、うまい。なんか薄味だけど食べれるぞ。それに
なんだかお腹も膨らむような感じがするし。
なんか俺って原始人みたいだな。
正式名がなんていうか知らないけどとりあえずこのきのこを
『マジックキノコ』と名づけよう。」
きのこを食べて元気になり、また戦い始めた。
カキ-ン、キンキン。
疲れては休み、腹が減ればきのこを食べ、そして寝る。
そうして時間がどんどん流れていった。
ジルは休憩中、デロスとゼムルの戦いであまりの力の差に
何も出来ず、ただただ圧倒されている自分を思い出した。
「強くなりたい。」
その思いが心の底から溢れていた。
スケルトンナイトと戦い続けるうち、
徐々に互角へと近づき、しだいにジルが押していく
ようになった。
そしてついにジルの剣がスケルトンナイトの喉
に突きつけられた。
「やったー、勝ったぞ!」
ジルはこれまで負け続けたこともあり、
心から喜んだ。
今までほとんど動かなかった2体のうちの1体が
動き出した。そしてさっき勝ったスケルトンナイト
と共に構えだした。
「やっぱりだ。こいつらは弱い俺と遊んでるんじゃない。
俺を鍛えようとしてるんだ。理由は分からないけど。
食べれるきのこを教えてくれたことといい
こいつらは悪いモンスターじゃないんだ。」
そう自分を納得させ、2体のスケルトンナイトに向かっていった。
カキ-ン。
1体の剣を受けたと同時にもう1体の剣が突きつけられる。
「そうか、さっきまでといっしょじゃ全然ダメなんだ。
今度は両方の動きを確認しながらでないとな。」
そしてまた
戦い、休息、食事、寝るの繰り返し。
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