ハーメルン
漫画家と主夫高校生のD×D
十六頁






 働き蟻の報告より数日。
 教会より派遣された聖剣使いとグレモリー眷属悪魔とシトリー眷属悪魔による聖剣破壊の密約より数日。
 
 その日の学業が終わり、部活動を済ませ訪れた放課後。
 街の中でも人気のない場所を練り歩く集団があった。
 彼らは一応に神父またはシスターの装いをした常人からすればあまり関わり合いになりたくない。そんな彼らはしかし教会の一派ではない。
 彼らがその胸に掲げているのは作り物の十字架。わかる者にはわかるそれ、神父・シスターの装いであるに関わらず偽物の十字架、それがしめすところはすなわちは悪魔。
 そう、彼らはグレモリー眷属とシトリー眷属の悪魔四人。


「そろそろ夕方か」


 先日、聖剣使いとの密会より聖剣破壊を目論む四人の悪魔。兵藤一誠、塔城小猫、木場祐斗、匙元士郎、彼らはかれこれ聖剣を探してこのように件のフリード・セルゼンを釣り出すエサとして神父シスターの装いをして練り歩いていた。


「ふぅ、今日も収穫なしか」


 既に夕方。各々自身の主に許可を取らずの行動であるため、行動にとれる時間も限られていた。
 そんな限られた時間もじき終わる頃に気落ちするように匙元士郎が呟いた。彼だけはこの事態にほとんど関係なくほぼ巻き込まれたにも関わらず、彼はこの四人の中で一番やる気があった。
 そんな彼に兵藤一誠は共感をするさなか、彼らの先頭を歩いていた木場祐斗がその歩みを止めた。


「……祐斗先輩」


 それに続くようにシスターの装いの少女、塔城小猫も何かを感じたようで、次の瞬間に兵藤一誠、匙元士郎の全身を寒気が襲った。それは殺気。
 彼らの近くからソレが飛ばされた。


「上だ!」


 匙元士郎が叫んだ。
 それにより全員が上空を見上げれば、そこには―――


「神父の一団にご加護あれってね!」


 聖剣を構えた白髪の少年神父が彼らのもとへ落ちてくる。
 それに対して木場祐斗はその手に素早く魔剣を作り出し、神父フリード・セルゼンの一撃を防ぐ


「フリード!」

「その声はイッセーくんじゃあないかぁ!へぇぇぇぇ、これはまた珍妙な再会劇でござんすね!どうだい?ドラゴンパゥワーは増大してるのかい?そろそろ殺していい?」


 相も変わらずイカレた調子だ、兵藤一誠がその心中で叫んでフリードを睨みながら彼らは来ていた衣服を脱ぎ捨て、普段の制服姿へと切り替わる。
 そして兵藤一誠は赤い籠手を、匙元士郎はその手に黒いトカゲの顔のような手甲を身に着ける。


赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)!」

『Boost!』


 赤き竜を宿した神滅具(ロンギヌス)が高らかに機械音声じみた音声を叫べば、兵藤一誠の力が膨れ上がる。しかし、兵藤一誠は前へと出ず後方に待機し木場祐斗を見る。
 そしてその横で匙元士郎がその手を伸ばし、その手甲のトカゲの口からまるでカメレオンのベロか何かのように黒い触手がフリード目掛けて放たれた。

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