束の間の日常4
昼食を取ったのち、ユメル達は市場にある先ほど林檎を買った中年の男性にドライフルーツを種類は問わず、40㎏。加工肉店で干し肉を30㎏発注し、明日の朝までの受け取りの契約を済ませると馬の乗り西門から草原へと出ていった。
日の高さは後数時間で日没しようかという具合の時間だった。
アルフレムがいうには見分ける事ができればすぐ見つかる草だという。逆に似ている只の草があるため見分けられなければ回収できず、だからこそ、売ってもある程度のお金となるのだと語っていた。
馬をアルフレムが止めると団子のように丸い赤い綺麗な花が咲いた草むらが近くにあった。そして彼は馬から降りるとその近くまで歩き、ユメルを手招きする。
ユメルも馬から降りると、彼に近づき、彼が見ている花をじっと見つめる。
「この花が薬草なのか?」
「ん、丁度いい教材だなと思ってよ。この花畑にゃ、薬草とただの花が混ざってる。良く見てみろ、よく見てみれば区別つくからよ」
じっとユメルはその花を観察する。どの草も同じように見えるが、しいていえば、葉に生えている毛があるのがあったりないのが合ったり、葉がまっすぐ生えているものあれば、茎を抱くように丸まっているのもある。けれども、そのくらいの差しか彼女には見分けられなかった。
どうだ? とアルフレムが訪ねると、彼女は素直にその違いを口にする。
するとアルフレムはにっこりと笑いながら彼女の頭を撫でた。
「そう、まず、薬草になる方はこれは、アヘンケシって呼ばれるんだが主な特徴として、葉にまだらに毛が生えてたり、まったく毛が生えてない。その上、葉柄がなく、葉が茎を抱くように生えてるのが目立った特徴だな。そのほかに、あんまり葉に切れ込みがなくて浅く波打つのが多い。
逆にこっちの花はただのケシって言われるな。ほら葉に毛が生えててまっすぐしてるだろ」
「ほぉ、知らないとわからない特徴だ」
「ま、全部が全部そうって言えないのがこいつが見分けられないのを助長させてんだけどよ。ただ、わからないなら採取しない。これが一番だな。他の薬草にもいえることだが、薬だとおもったら毒草でしたってのもある」
「わかりました、師匠」
「で、なんで草の話なんてするかっていうと、未知を探索する俺はこういう草も見分けられなきゃいけないんだわ。例えば、新種の草が画期的な妙薬になる場合もある。だから今回は触りだが、しっかり本読んで勉強しろよ。で、次に取り方なんだが……」
アルフレムは話ながら草を土から掘り返し、根を残す形で数本摘むと、布を広げその上に水を垂らした上で、下の土の部分を包むように薬草を束にした。
事も無げに行っているが、茎を傷つけないように細心の注意を使わなければ、途中で折ってしまったりして薬草はダメになってしまうだろう。
それを見たユメルも、土を掘り返し、草を摘もうとするが、草を引き抜いた途端にしたの土が全て落ちてしまい、根がまだらにしか残らない状態になってしまった。
「む……」
「ま、今回はそれでも平気だ。長距離運ぶわけじゃないからな。ただ、草を土と共に運ぶ場合は素直に茎の下から掘り返すんじゃなくて、円を描くように回りから掘っていくのがコツだ。
それさえわかれば簡単にできるぞ」
意外と簡単そうに見える作業でも難しいのだな、という感想を抱きながらユメルも草を布に来るんで持つ。
今日のレクチャーは終わり、と立ち上がる彼についていきながら、彼女は雛が餌を求めるように、矢継ぎ早に質問をする。
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