三話 自宅
「トイレはここ!」
「はい!」
「この部屋には入らない!」
「はい!」
「アレとソレとコレにはさわらない!」
「はい!」
シロにザックリと注意事項を説明していく、向こうの勝手がきかないんじゃココでの生活なんてままならない。
それに家の物を壊されたら駄目だ、いろいろと面倒だ。
「家の物絶対壊すなよ!?」
「わ、わかりました!」
しっかりと念を押す、振りじゃないぞ?
「とりあえず、俺が帰ってくるまで俺の部屋で大人しくしていてくれ」
「分かりました! マスター!」
元気のいい挨拶でシロが返事をする。
「鍵は絶対開けるなよ、誰か来ても無視しろ、極力部屋からは出るな、もし誰か入ってきたら俺の部屋で鍵かけてじっとしてろよ、いいな」
「は、はいぃ・・・・・・」
言葉のラッシュでシロがたじろぐ、言い過ぎたかもしれないが大丈夫だろう。
「じゃ、4時には帰ってくるからな」
「わかりました~いってらっしゃ~い」
やっと学校に行ける・・・・・・。
学校。
「おはよー」
「おはよ~」
挨拶が教室のあちこちで飛び交う、こんな日常風景に安心している自分がいる。それだけ朝の出来事が衝撃的過ぎたんだろう。
学校なら落ち着ける、そう思う朝だった。
自宅。
「どうしよう」
私は一人悩んでいた。
マスターが学校に行ってしまったので、私は家でお留守番をしている。その上マスターからは部屋から出ないように言われているので暇だ。
「何かないかなぁ」
あまりにもやることが無さ過ぎたので少し部屋の中を見回してみる。
今座っているベッド、机、本棚、小さな機械、それと、人形?
「なんだろう? モンスター?」
そこにあったのはモンスターの形をした手乗りサイズの小さな人形だった。草食獣や飛竜などいろいろあるが、どれも小さいので恐くない。むしろ可愛い。
「わぁ、いっぱいある」
ポポの親子、ティガレックス、ナルガクルガ、アグナコトル、そしてキリン。
他にも様々な大きさの物があった。どれも生き生きとした動きで止まっている。
モンスターの人形を愛でていると、本棚にモンスター図鑑なるものがあるのを見つけた。私は少しばかり気になってそれを手に取り、ベッドに腰かけて読んだ。
「ふむふむ、へぇ、なるほどー」
その本にはモンスターの情報、倒し方、装備の見た目や性能、武器のことや素材の入手方法も載っていた。
知っているモンスター、知らないモンスター、伝説のモンスター、神と呼ばれるモンスター、倒したことのあるもの、倒したことのないもの、いろいろだった。
シロが本を読み進めていると、ぐぅ、とシロのお腹が鳴った。時計の針はちょうど12時を指している、お昼時だ。
(お腹空いちゃった・・・そういえばマスターがごはんを作りおきしてくれてたっけ)
シロは部屋を出て二階に降り、台所へ向かう。そこにはホットドッグがあった。
「これかな?」
皿に盛られているのから一つ取り、「いただきます」と一言、齧り付いた。
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