ハーメルン
いぶそうあれこれ
好き合う二人はいつだって(最終章)

 自分らしく。

「兄さん、どこからですか?」
「最初からだよ。」
「ふふふ……。」
「あはは……。」

 先程の変調は最初から分かってやっていたという事である。向かい合っていた二人は並び直して、またベルの鳴る道を歩き始めた。

「あんなかっこいい『詠唱』はもっといい雰囲気の時に取っておいて欲しかったです。」
「ごめん、ちょっとしたプレゼントの気持ちで。」
「そうですかー」
「そんな怒らないで……。」
「怒ってないですよ、つーん。」
「プレゼントありがとう。」
「ふふっ、私だけ貰っても不公平ですから。」

 返答に少し間が空いた。

「陽滝と敬語をやめて話した時合わないなって思ったんだ。」
「だから強引に戻したんですね。」
「積み重ねもなくこういう話で変えるには……なんというか『足りない』とも思ったよ。」

 再び返答に少し間が空く。

「私は昔兄さんが嫌いだったのは知ってますよね。」
「当然。」
「期待して失望して嫌いになって、辛くなって苦しくなって止まっている時兄さんに救われて、好きになりました。大好きです。」
「あ、はい。」
「でも嫌いだった時もあって、だから私もこれでいいと思います。どんな時期でも兄さんとの事は止めたくないです。」
「わかった。」

 二人の向かう先に一軒家が見えてきた。装飾されたモミの木があって、今夜のプレゼントを準備してそうな父さんと母さんのいる、『みんな一緒』の家。渦波は続ける。

「心を折られたり嫌いな時はあったけど、僕も陽滝が大好きだ。愛してる。」


 終わり方は決まりきっている。


ーー二人は幸せなキスをして終了。

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