ハーメルン
魔法少女まどか☆マギカ [別編]~再臨の物語~(第3部)
魔法少女まどか☆マギカ 別編~再臨の物語~(第3部20話)
「まどか……あなたが終局の願いを告げて、この世を去ったのはどれくらい前だったかしらね」
ほむらの憶えている時間で、半年前?
「だいたい、半年ってところかしら」
自分で、そう答えた。
「どうしたんだよ、ほむら。早くやりなよ」
後ろで杏子が急かしている。
ほむらがやろうとしているのは、グリーフシードの転生を応用したまどかの再臨。
持ち主の消えたソウルジェムは、空っぽの魂の器。
そこにまどかの魂を宿し、再び魔法少女としてこの世に戻す……というのが、元々のほむらの狙いだった。
ヒビ割れた螺良あかねのソウルジェムは、まだグリーフシードに成っていない。
魂の器という意味では同じなので、それはどちらでも構わないのだが、
「いいえ、何でもないわ。さあ、そのソウルジェムを私に」
と言って、まどかから白いソウルジェムを受け取った。
ジェムはヒビ割れ、その中からは漆黒が覗いて見える。
ほむらはそれを受け取ると
「ありがとう」
と小さく呟いた。
そして
「これで私が辿ってきた永遠の物語は、終わりを迎えるわ」
と言うと、白いジェムを指輪の形に変え、自分の右手中指にはめた。
「え?」
あの時、杏子も見ていたグリーフシードの転生とは、何かが違う。
グリーフシードに時間遡行の魔法をあて、時を遡り、魂を移し替えるのでは
「そうじゃないのか? ほむら……お前、一体何を?」
「杏子、あなたはいつも強いわね。どんな逆境も諦めず、道を切り開く。あなたはやっぱり、誰よりも魔法少女に相応しい」
ほむらは何かを思うような目で、杏子を見ていた。
今までにないほど穏やな眼差しで、優しく言葉をかけた。
「どうしたんだよ、らしくないじゃん」
杏子は少しはにかんだように表情を緩めて答えた。
「美樹さやか」
ほむらは振り返って、今度はさやかを見た。
「あなたの言葉がまどかに届いた。思い込みが激しくて不器用だけれど、行動力と勇気があるあなたは、彼女にとって必要な人」
「な、なによ転校生。そんなお別れみたいな言葉……」
確かにほむらの言葉は、まるで別れの挨拶のような、最後の言葉のような、そんなふうに聞こえた。
「まどか」
そしてほむらは再びまどかに向いた。
一歩、また一歩、足を進ませて近づき、そのまま両手を広げて、まどかに抱きついた。
その手に、力いっぱい抱きしめた。
「ほむらちゃん?」
もう、涙はなかった。
記憶が映すまどかのまぼろしを抱きながら、その温もりを身体で感じながら、ほむらは魔力を開放した。
八咫の盾に魔法の力が伝わり、内部の歯車が回転する。
キーンという小さな音を立てて、歯車の回転が速度を上げる。
空間がゆがみ、時空に歪(ひずみ)が起こった。
「大丈夫よ、まどか。あなたが心配することは何もない」
ほむらの時間遡行魔法の発動。
ある一点に集中して時を遡る、天生目ゆう子を魔法少女にしたグリーフシードの転生と同じ要領。
「あなたの受け止めた呪いは、もうどこへも行かない」
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/4
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク