ハーメルン
仮面ライダーW&ドライブ Eの復活/ライダー捜査線
第3話
「すまねぇ、ジンさん。目の前でメモリ所有者を助けられなかった。」
俺は風都警察署の死体安直所でジンさん、フィリップに事の一件を伝えた。
「翔太郎のジョーカーを上回るメモリ…。少々厄介な相手だね。」
フィリップも流石に真剣な顔をしていた。
「翔太郎の言う、ドーパントの風貌、戦闘スタイル…。推測だけど、使用しているメモリは"暗殺者"の記憶を擁するメモリ、A(アサシン)メモリの可能性が高い。」
暗殺者か…。目撃率の低さ、身のこなし、的確な殺害…。なるほど、合点が行く。
「…で、そっちは何か掴めたか?」
俺はフィリップに尋ねた。
「あぁ。興味深い事がわかったよ。」
さすが相棒だ。
「それで?」
「まず、被害者が所持していたメモリ。それは、"吹雪"の記憶を持つB(ブリザード)、"羽根"の記憶を持つF(フェザー)、"昨日"の記憶を持つY(イエスタデイ)、そして、"暴力"の記憶を持つV(ヴァイオレンス)だ。」
フィリップは続けた。
「その内、破壊されたのがB、F、Y。そして行方不明なのが…。」
「…Vか。」
俺が言うとフィリップは頷いた。
「さらに、翔太郎が戦ったドーパント。仮にアサシンドーパントとしよう。やつが持っていったメモリが"刃"の記憶を持つSメモリ。やはり、アサシンドーパントの狙いは僕たちの模倣ではなく、特定のメモリの収集と見て間違い無いだろうね。」
だが、何のために…?
その時、俺はアサシンドーパントが去り際に言った一言を思い出した。
ー姿を見られた所で我らの計画を止められる訳がないか
「フィリップ、ジンさん。この事件、裏で何かが動いてるかもしれねぇ。」
「どういうことだ、翔太郎?」
ジンさんが言った。
「アサシンドーパントを退いた時、"我らの計画を止められる訳がない"って言っていたんだ。」
「我ら…。一人称複数形で言ったというのなら、複数での犯行ということかい?」
フィリップが確認してきた。
俺は頷いたが、ジンさんが続けて言った。
「けど、お前たちを欺くための嘘の可能性もあるんじゃないのか?」
「あぁ。だが、その可能性はかなり低いと俺は考えてる。」
俺は答えた。
「その根拠は?」
フィリップが尋ねた。
「殺しの腕は確かだ。やつは強い。それは俺のその身を持って感じた。だが、やつはメモリの力を過信しているのか、不測の事態には弱いと見たんだ。戦いの中で、俺を倒せないことで焦りを見せた。最後まで焦りを見せずに詰められたら、正直危なかったと思う。その焦りで助かった所もあるからな。やつが"我ら"なんて言ったのは、無意識に口から出たって所だ。」
俺が言い終えた所で、フィリップが鼻で笑った。
「なるほどねぇ。腕は一流だけど頭は二流、といった所か。アサシンが聞いて呆れるねぇ。」
全くだ。戦闘が専門ではない探偵でさえ、不測の事態に備え、ありとあらゆる可能性を踏まえて行動しなければならない。
まぁ、強いて言えば、やつにとって相手が仮面ライダーという所がイレギュラー中のイレギュラーだったのかも知れないが。
「あぁ、それと、翔太郎。もう一つ被害者の共通点がわかったんだ。」
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