#6-3
放課後、厚く雲は空を隠し続けている。
最近はこんな天気が続いている。
まるで俺の心の中を映し出しているようだ。
俺の心の中っていつも雲がかってるだろ。
と言うことは未来永劫晴れ渡ることはないと言い換えても過言ではない。
そうなりゃ農作物が多大な被害を被る。
世界的な飢饉に見舞われるかも知れない。
俺の心の中を現実に映し出したら人類が滅亡するな。
日も暮れようとしているのだろう、辺りはいつも以上に薄暗くなっていた。
気温も下がり、肌寒く身震いをしてしまう。
そんな中、俺は中庭で葉山先輩を待った。
しばらくすると、由比ヶ浜の姿が見えた。一緒に歩いている高身長で爽やか系な男子も同時に確認できた。多分あれが葉山先輩なのだろう。
「ヒッキー!隼人君連れてきたよー」
「おぅ、由比ヶ浜。ありがとう」
こう面と向かって立ち合うと、写真で見るよりもかなりイケメンだな。
めちゃくちゃ爽やか系なイケメンで人柄も良さそうだ。
「初めまして。君かな?俺を呼んだのって」
「初めまして。葉山先輩ですよね。お時間頂いてありがとうございます。1年の比企谷です」
「あぁ、そんなかしこまらなくて良いよ。結衣から聞いているが、君も俺と歳は変わらないんだろ?」
由比ヶ浜? おれの個人情報ダダ漏れすんのやめてね? どこまで喋ったのかはわかんねぇけどさ。
「まぁ、そう言ってもらえると助かります」
「それじゃ、用件を聞こうかな? 」
「端的にサッカー部の女子マネージャーに1人勧誘してもらいたいんですよ」
「勧誘してもらいたい? 俺にか? 入部届を出せばいい話ではないのか? 」
「由比ヶ浜からはサッカー部のマネージャー枠は入部規制が敷かれていると聞きました。なので直接葉山先輩にお願いをしに来た限りです」
「そうか…ではその子はここに?」
「いえ、今はいません」
「俺としては、人に頼って自分は出てこないという子をマネージャーに迎えるのは遠慮したい所なのだが…別に理由があるんだろ?」
勧誘してもらいたいということについて何かしらの事情があるとすぐに察したか。
流石カースト上位。
「もっともな話です。それに併せて事情をお話しさせてもらうと…」
俺はグループチャットでの盗撮の件と現在一色が置かれている状況について説明した。
「…なるほど、君と一緒に動いては、いつ誰が撮影してくるか分からない。火に油を注ぎかねないという事か。だから俺が一色さんをサッカー部に勧誘させることでその男子たちから一色さんを引き剥がしたいと。つまりはそういうことだね?」
「なんか、キモいね。女の子1人にそんな群がって、相手のこと全く何も考えて無いじゃん」
由比ヶ浜が口にする言葉の節々に怒りの感情が垣間見えた。
「誰彼構わず愛嬌振りまいていた一色も悪いがな」
「わかった、状況は理解した。ただ、一応聞いておこうと思うのだけど、君ならどうする?」
どういうことだ? 俺ならどうする… 俺が何もできないからこうやって頼み込んでいるんだ。
「俺にできることはそれをお願いするくらいです」
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