#7
そう言うと小町の怯えた表情が和らいできた。
少しは役に立てたようだ。
「そうだよ〜?小町のお出迎えするのはおにぃちゃんの役割なんだからねっ!」
「へいへい」
「そんなおにぃちゃんが生きててくれて、一緒にお話しできるの小町凄く嬉しいよ。あっ、これ小町的にポイントたっかいー♪」
「本当にポイントたけーじゃねぇか。しゃーねぇ…」
どうやら俺の知らないところで心配させちまってたみたいだし、ここはお兄ちゃんらしい所を見せてやるか。
「今日くらいは、風呂掃除代わってやるよ。おっ、これ八幡的にポイント高い」
「いつも小町が代わってあげてるんだからこれくらいでポイント高いとか言っている時点でごみぃちゃんだよ…ダメダメだよ」
「ちょっと小町ちゃん?俺のやる気返して」
「だから今日は小町もおにぃちゃんと一緒にお風呂掃除するねっ!」
「んじゃ二人で手分けしてやるか」
「うんっ!」
兄妹水入らずの風呂掃除。そりゃ、他人から見れば単なる掃除だろう。
でも俺たち兄妹からすれば、これはきっと欠けてしまっていた空白の時間を埋める大切な何かのはずで――
ふとそんな考えが頭をよぎった。
部屋にかすかに漂う紅茶の淡い芳香が鼻を抜け、感情を刺激する。
嬉しそうに風呂場へと向かう小町を見ながら俺はきっと今、とても嬉しいのだろうとそう結論づけるのであった。
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