#11-2
あれから1週間ほどが経っただろうか。
さすがに、前の昼休みのように一緒にお昼ご飯を目につく場所でとかそんな事はやっておらず、放課後に奉仕部の仕事を手伝ったりして行動をともにする程度だ。
まぁ、もはや数え切れない程のシャッター音を耳にして、もはやモデルにでもなった気分だ。……嘘、正直あまりいい気分ではない。
そのおかげで結構周りからは噂が広まり、多分この話題は今総武高校でバズってる話題の1つなのではないかと思う。さすが雪ノ下先輩、影響力が段違いだ。
そんなホットな話題のおかげで俺は教室にいても興味の目を持たれてしまう。
女子はヒソヒソとどこからか出てきたのかわからない根も葉もない噂に花を咲かせ、男子には嫉妬と羨望の目を向けられる。
「比企谷先輩、どうやったらそんなに可愛い子ばかりと知り合えるんですか?」
いつの間にか隣にいた相模が話しかけてくる。
意外とこいつは良く俺に話しかけてくる。
「知るかよ、勝手にそうなってんだよ」
「なんですかその主人公属性、爆発すればいいのに」
吐き捨てるかの表情で相模は俺を見る。
相模くん、お行儀がわるいわよ。
「お前段々と口悪くなってきたな」
「えぇ、比企谷先輩の取り扱いにも慣れてきましたので」
「取り扱いって俺は物かよ」
「1年C組の備品ですよ」
「お前、自分の口で先輩と呼んでいる相手に向かってそれかよ……敬う心がみじんも感じられないんだが……」
「敬う気がないですからね」
「もしかして怒ってる? なんで?」
「なんでこんな目の腐った野郎が美少女ばかりと出会えるんじゃ死ねよとか思ってませんから安心してください」
相模は優しい声色でニッコリと微笑んで見せた。
しかしその目は笑っていない。
「いや、怖ぇから」
「冗談ですよ。最近ようやくグループチャットでも変化がありまして」
俺は1週間前に相模にグループチャットで少し牽制してもらう様に頼み込んだ。
グループチャットというのはいわゆるクローズドな関係で締め切れられている。
そこでは誰かリーダーがいて、そいつが一番の発言力を持っている訳だ。
そいつ以外の連中はとりあえず周りの空気を気にしてそれに合わせている。
しかし、相模のグループチャットは100人規模のグループチャットだ。
発言力の高いリーダーがいたとしても、この規模のコミュニティともなると早々に自分の意見を押し切れるはずが無い。
そこで俺が提案したのは相模に正論を言ってもらうことだ。
ただ一言『最近思うんですけれどこれって盗撮じゃないですかね……』ってな。
そうするとどうだろう、水面に落ちる雫でできた波紋の如くそれは承認されて行くだろう。
なんでって正論だしな。
どうやらその変化がグループチャット内で広がってきていると相模は言っているのだ。
「おぉ、さすがだな」
「比企谷先輩が雪ノ下先輩と一緒にいる理由が無くなるならお手の物ですよ」
人への嫉妬でここまで動くとかこいつ……しっとマスクの才能ありそうだな。
「そ、そうか」
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