#6-1
曇天の空は日射を遮り気温を落とした。
さらにその雲はいつ雨を降らせてもおかしくないような空気を醸し出していた。
そんな中、俺は自転車を走らせる。
ちょっと雰囲気的にいつ雨が降ってもおかしくない。
少し急ごうとペダルを力強く踏む。
ケイデンスを上げるぞ!
そう思った矢先、赤信号に止められた。
畜生、俺の体力返しやがれ。
信号待ちの気紛らわしに昨日家に帰った後のことを思い出す。
拘束から解かれ嬉々として家に帰った迄はよい。
そこからさらに玄関前で正座させられるとはお兄ちゃん思いもしなかった。
「おにぃちゃん…小町おにぃちゃんがコンビニに行くんだろうなって思ってその格好見過ごしたの、わかる?でもその予想を裏切ってデート?…おにぃちゃんの一生で数回あるかないかのビッグイベントでその格好はないよ…小町一生の不覚だよ」
「えっ、そんなにダメだった!?」
「ありえないよー?上はジャージで下はスウェットって、コンビニによく出没する田舎のヤンキーみたいな格好」
小町ちゃん?それってお兄ちゃんも田舎のヤンキーって遠回しに言ってる?
「まじか…めっちゃ楽なのに」
「着心地の問題じゃないよー?今度から女の子と遊びに行くときはちゃんと小町に言うこと!わかった?」
「はい…」
外では恥ずかしい格好だって知らなかったんだよ。
でもそういうこと後で言われるとすげー恥ずかしいよな。
しばらくはあの場所に近づかないようにしよ…
目先の信号が青へと変わり、ペダルを踏み、俺は急ぎ学校へと向かった。
***
教室に着き、いつも通り俺は机に突っ伏してHRまで、眠りにつこうとした。
そこでいきなり声をかけてきたメガネ野郎がいた。
おっおぉ…人に声かけられるなんて中学3年の夏以来だ。
ってか、んだよ。
俺のスゥウィートタイムを汚すんじゃねぇ。
「比企谷先輩、もしかして昨日、一色さんとデートしてました?」
「はぁ?」
目が覚めたわ。
ってかその一色いろは。
お前のせいでほかが先輩呼びになっちまってるだろうが。
「いや、違ぇし…あれはデートじゃねぇ。一方的な荷物持ちだ…」
「まぁ、見ればいくら何でも分かりますよ。先輩どうしたんですか?5秒で支度しろとか言われた格好してましたよね?」
やめろよ、40秒でももっとマシな格好できるとか遠回しに言わなくていいから。
俺のナウでデリケートな羞恥心抉ってくるな。
「ってかお前誰だよ?」
「っえ!?相模ですよ。最初のLHRの時に自己紹介しましたよね」
「40名近く居る奴らの自己紹介って一度に覚えられないでしょ普通」
お前興味ない奴の名前なんて覚えるか?覚えないだろ?無駄な労力だろ?
そんなの完全記憶能力でもない限りあり得ないわけだ。
一回言えばわかるとかそんな幻想ぶっ殺せや。
「そうですね、確かに」
おっ、意外と素直だな。
「ときに相模、なぜお前がその情報を持っている?ショッピングモールにいるときにでも出くわしたのか?」
「違いますよ。あれ、グループチャットで回ってきたんですよ」
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