>> 古きカミのカタチ(2)
かの龍の迎撃拠点に選ばれた、釣り鐘状の入り江を持つ孤島。
玄武岩に覆われた島の頂上は、険しい崖に覆われて、誰の視界にも入らない。
故に彼女は、そこを選んだ。
「ふふ、始まったわね」
赤く染まる曇天の空。しとしとと温い雨が降る中で、真っ白な服を着たその少女は背中に手を回して指を組む。
「でもまさか、本当に来てくれるなんて。ふふふっ、なんて健気なのでしょう」
眼下は火の手が上がり、喧騒に混じって怒号や悲鳴も聞こえてくる。けれど、それとはまったく無縁といった様子でその光景を見下ろす。
「数万年越しの再戦ね。どちらも、がんばってね」
楽しそうにそう呟く彼女は、微笑みを称えていた。
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